1964年にデビューしたポルシェのスポーツカー「911」は、2011年8月に発表され同年11月から日本で発売開始になった「991型」で通算7代目の現行型になりました。アルミニウム合金などの採用によりボディの軽量化を図った他、「カレラ」用エンジンのダウンサイジング化、ホイールベースの延長による操縦安定性と乗り心地の改善など、様々な面で6代目997型から進化を果たしました。
NA・RRのクーペとカブリオレでスタート
スタイリングは997型の雰囲気を踏襲するものの、ボディは前述のような素材変更の他「ボクスター」との共用パーツを減らし、専用パーツの採用が多くなっているのが特徴となります。最初に発売されたのはNA・RR仕様の「カレラ」及び「カレラS」のクーペとカブリオレで、ボディサイズは全長4,491mm×全幅1,808mm×全高1,303mm(カレラ)/1,295mm(カレラS)で997型から全長が若干拡大され、全高は僅かに低くなりました。
ホイールベースは100mm延長され2,450mmとなり、RR特有のトリッキーな操縦安定性が大幅に改善されると共に、フラットな乗り心地が実現しました。車両重量は、ボディシェルの軽量化にも関わらずそれまでと大差ない1,450kg~1,490kgとなっています。リアに搭載される水冷フラット6は、カレラ用が3.6Lから3.4Lにダウンサイジングされた一方、カレラS用は3.8Lを踏襲しました。
スペックは、カレラが最高出力350ps/7,400rpm・最大トルク39.7kgm/5,600rpm、カレラSが最高出力400ps/7,400rpm・最大トルク44.9kgm/5,600rpmで、共に997型から大幅に向上、トランスミッションは新たに7速化されたMTと7速PDK(DCT)が設定されました。動力性能はカレラクーペMTが最高速度289km/h・0-100km/h加速4.8s、カレラSクーペMTが最高速度304km/h・0-100km/h加速4.5sで、何れも991型より向上しました。
サスペンション形式は、997型同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:マルチリンク式が踏襲されました。そして2012年8月、4WDモデル「カレラ4」及び「カレラ4S」がクーペ・カブリオレ共に追加されました。次いで2013年3月、3.8Lエンジンを最高出力475ps/8,250rpm・最大トルク44.8kgm/6,250rpmにチューニングして1,852mmにワイド化した専用ボディに搭載し、4WSを採用したRRモデル「GT3」が追加されました。
ターボやタルガなどを追加
更に同年5月、3.8Lターボエンジン+4WDのクーペモデル「ターボ」及び「ターボS」が追加されました。スペックは、ターボが最高出力520ps/6,000~6,500rpm・最大トルク67.3kgm/1.950~5,000rpmで、最高速度315km/h・0-100km/h加速3.4s、ターボSが最高出力560ps/6,500~6,750rpm・最大トルク71.3kgm/2,100~4,250rpmで最高速度318km/h・0-100km/h加速3.1sとなっています。
又、全幅が1,880mmにワイド化されたターボ車専用ボディとなる他、ポルシェ初のアクティブロール制御システム「PDCC」を採用し、更にターボSにはスポーツクロノパッケージやダイナミックエンジンマウント、ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ(PCCB)などが装備されます。同年9月には、カブリオレにも「ターボ」と「ターボS」が設定されました。
次いで2014年4月、所謂タルガトップボディを持つ4WDモデル「タルガ4」及び「タルガ4S」が追加されました。同年10月には、「カレラ」「カレラ4」のクーペとカブリオレに、最高出力430ps/7,500rpm・最大トルク44.9kgm/5,750rpmを発生する3.8L NAエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデル「GTS」が追加されました。2015年1月には、タルガにもGTSが設定されました。