ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツとBMWは、長年に渡りライバル同士の関係にあります。また、販売会社が違うと事前注文数や受注台数も違うので納期が変わるだけでなく諸費用も変わる場合があるので、乗り出し価格についても確認しておきましょう。現在の両社のラインナップにおいても、Aクラスと1シリーズ、Cクラスと3シリーズ、Eクラスと5シリーズ、Sクラスと7シリーズなど、真っ向から競合するケースが多くなっています。ボディ・サイズやエンジンのパフォーマンス、そして価格に至るまで、両社の車種は互いを相当意識した設定になっており、強いライバル意識が感じられます。
両社の持ち味は全く異なる
しかし、スペック上は類似しているように見えても、両社の車種の持ち味は全く異なります。メルセデス・ベンツの車種が、走行安定性や安全性を最優先事項とし、安全快適にリラックスして運転出来る事を主眼に設計されているのに対し、BMWの車種は、イーブンな前後重量配分による優れた操縦性と、それに伴うドライビング・プレジャーを優先した設計になっています。
又、メルセデス・ベンツは、駆動方式としてFR方式の他にFF方式や4WD方式の車種も様々ラインナップし、多様なユーザーニーズに対応していますが、BMWは操縦性優先のポリシーから、SUVを除けばFR方式中心のラインナップとなっています。
その他にも、衝突被害軽減ブレーキを始めとする運転支援システムに対する取り組み方も異なり、メルセデス・ベンツが積極的に採用しているのに対し、BMWは導入にはそれ程積極的ではありません。
そうした相違点がある為、ユーザーが実際に車を選ぶ際に、メルセデス・ベンツとBMWのどちらを選ぶか迷うケースは意外に少ないと言われています。特に、日本市場においては両社にはそれぞれコアなファンが多数存在する為、最初から決め打ちで選ぶケースが多いようです。
しかし、ここ数年は、両メーカーが互いの持ち味を意識する傾向も生まれています。メルセデス・ベンツは、近年「アジリティー」という用語を使い始めていますが、これは明らかにスポーティーな味付けという面では優位に立っていたBMWを意識したものと言えます。
一方、乗用車タイプに関してはFR方式に拘って来たBMWも、ついに同社初のFF方式となる2シリーズ・アクティブツアラーをリリースし、同様にFF方式を採用するメルセデス・ベンツBクラスへの対抗心を顕わにしています。又、2シリーズ全般に運転支援システム装備モデルを用意するなど、予防安全に関する取り組み方も変化しつつあります。
今後、このドイツの両雄は、従来からの持ち味を維持しつつも、互いの美点を取り入れながら進化していくものと考えられます。