1980年に「シルヴァーシャドウⅡ」に代わる主力高級セダンとしてリリースされた「シルヴァースピリット」は、1993年に4年ぶり2度目のマイナーチェンジを受け、第三世代の「シルヴァースピリットⅢ」に移行しました。改良は小規模なものであったものの、エンジンに手が加えられたほか内外装の一部が変更されました。
燃料噴射システムなどを変更
ボディタイプはそれまでと同様、4ドアセダンのみのラインナップでした。また、シャープなフォルムや角型ヘッドランプを持つエクステリア・デザインは、基本的に従来のシルヴァースピリットⅡからのキャリオーバーであったものの、マフラーが片側2本出しに変更されたことが数少ない変更点でした。
ボディ・ディメンションは全長5,270mm×全幅1,885mm×全高1,485mm、ホイールベース3,060mmで、実質的にそれまでと同一でした。一方で、車両重量は80kg増加し2,430kgとなっていました。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンも6,750ccV型8気筒OHVがキャリオーバーされました。
ただし、シリンダーヘッドやエアインテーク・マニホールドの設計が刷新されるとともに、ボッシュ製の燃料噴射システムはそれまでのLモトロニックから最新のM3.3モトロニックに変更されていました。また、圧縮比が従来の8:1から8.7:1まで高められるなど出力の増強が図られていたものの、最高出力の数値は引き続き同社の方針により公表されませんでした。
動力性能が向上
トランスミッションは従来同様4速ATとの組み合わせで、最高速度は9km/hアップの214km/h、0-100km/h加速は0.5s短縮された9.5sというパフォーマンスを発揮しました。サスペンションは、電子制御ダンピングコントロールシステム「オートライドコントロール」採用のフロント:ダブルウィッシュボーン/コイル式・リア:セミトレーリングアーム/コイル式4輪独立懸架が踏襲されました。
また、ブレーキも従来同様フロントがベンチレーテッド型、リアがソリッド型の4輪ディスクブレーキが採用されました。インテリア面では、インパネやステアリングホイール、シートなどの意匠が変更されました。また、安全装備として引き続きSRSデュアルエアバッグシステムやABSが、快適装備としてはパワーシートが前席に加え後席にも採用されました。
そして1995年にマイナーチェンジが実施され、エクステリアにさまざまなリファインが施された「シルヴァースピリットⅣ」に移行しました。第三世代モデルの総生産台数は、販売期間が2年と短かったため211台に留まりました。