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ロールス・ロイス ファントムⅣ (1950-1956):11年ぶりに復活を遂げた最高級ショーファードリブン

第二次世界大戦中に一般向け乗用車の生産を中止していたロールス・ロイス社は、戦後にニューモデル「シルヴァークラウド」と「シルヴァードーン」を相次いで投入したものの、いずれもかつてのショーファードリブン「ファントム」シリーズの下位に位置するモデルでした。しかし1950年になると、11年ぶりにファントムの名を冠する最高級モデル「ファントムⅣ」がリリースされました。

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ファントムⅢからボディを拡大

戦前のモデル同様、ロールス・ロイス社からはシャシーとメカニカル・コンポーネンツのみが供給され、ボディの架装はフーパーやH.J.ミュリナーなどのコーチビルダーの手にゆだねられました。ボディ・バリエーションは、フィクスドヘッドボディのリムジンが大半であったものの、オープンボディのカブリオレも製造されました。

スタイリングはシルヴァークラウドの流れを汲むもので、ボディ後半部分がフラッシュサイド・フルワイズ化された近代的なフォルムが備わっていました。ボディサイズは全長5,766mm×全幅1,956mmで、ファントムⅢやシルヴァークラウドなどよりも一回り以上大きく、ホイールベースもそれらより長い3,683mmに設定されていました。

同社唯一の直列8気筒エンジンを搭載

駆動方式は、コンベンショナルなFRが踏襲されました。エンジンはファントムⅢがV型12気筒であったのに対し、シルヴァークラウドおよびシルヴァードーン用の直列6気筒をベースに8気筒化した総排気量5,675ccの新ユニットが搭載されました。その後同社から直列8気筒エンジン搭載モデルがリリースされることはなく、長いキャリアの中で唯一の存在となりました。

バルブ機構はファントムⅢやシルヴァークラウドなどと同様、吸気側がOHV、排気側がSVの「oise」方式が採用されました。当時すでにOHVクロスフロー式が主流となっていた中、極めて保守的なメカニズムといえました。また、シリンダー・ブロックおよびクランクケースは鋳鉄製、シリンダー・ヘッドはアルミニウム製でした。

最高出力は、6.4:1の圧縮比と1基のストロンバーグ製キャブレターにより164hpを発生したものの、同社のポリシーによりこの数値が正式に公表されることはありませんでした。組み合わせられるトランスミッションは、当初は4速MTでした。サスペンション形式は、シルヴァーレイスと同様のフロント:ダブルウィッシュボーン/コイル独立懸架式・リア:リジッド・リーフ式が採用されました。

その後しばらくの間大きな仕様変更はなかったものの、1954年にトランスミッションが4速ATに変更されました。そして1956年、総生産台数わずか18台をもって生産終了となりました。なお、最後の3台はボアアップにより排気量が6,515ccに拡大されました。

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