1965年にそれまでの「シルヴァークラウド」シリーズに代わるロールス・ロイス社の主力モデルとして登場した「シルヴァーシャドウ」は、12年目のシーズとなった1977年にビッグマイナーチェンジを受け、「シルヴァーシャドウⅡ」に移行しました。それと同時に、ロングボディ仕様が「シルヴァーレイスⅡ」として独立したため、標準ボディ仕様のみの設定となりました。
フロントまわりのデザインを小変更
ボディタイプは、すでに2ドアクーペと2ドアカブリオレが「コーニッシュ」と名付けられた独立した車種となっていたため、4ドアセダンのみのラインナップでした。エクステリア・デザインは、直線基調のスクエアかつプレーンなフォルムや同社独自のフロントグリルの意匠などに変更はありませんでした。一方で、4灯式ヘッドランプの下に設けられていた小さなグリルは廃止されました。
また、アメリカ向け輸出仕様車は同国の安全基準を満たすため、それまでのクロームメッキ製バンパーに代えポリウレタンが貼られた衝撃吸収バンパーが採用されました。一方、ヨーロッパ仕様にはバンパー下部に新たにエアダム・スカートが備わりました。ボディ・ディメンションは全長5,170mm×全幅1,803mm×全高1,518mm、ホイールベース3,050mmでした。
ホイールベースをわずかに延長
先代標準ボディからは、ホイールベースが15mm延長されていました。また、サスペンションはフロント:ダブルウィッシュボーン/コイル式・リア:セミトレーリングアーム/コイル式による、ハイドローリック・システム採用の4輪独立懸架が踏襲されました。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンは先代後期型から設定された6,750ccV型8気筒OHVがキャリオーバーされました。
圧縮比は8:1で、レギュラーガソリンに対応していました。また、キャブレターはSU HD8ツイン・キャブレターが装備されました。最高出力はそれまでと同様、同社の恒例に従い公表されませんでした。トランスミッションは先代後期型同様、全車GM製3速ATとの組み合わせでした。最高速度は190km/hで、先代初期型との比較ではわずかに低下していました。
ラック&ピニオン式ステアリングを採用
そのほかの機構面では、4輪ディスク式のブレーキがそれまでのソリッドタイプからベンチレーテッドタイプにアップグレードされました。また、ステアリング形式がリサーキュレーティング・ボール式からラック&ピニオン式に変更され、操縦安定性が向上したことも大きな改良点でした。その後1979年に、ロールス・ロイス車誕生75周年を記念した特別仕様車が設定されました。
そして翌1980年に後継モデル「シルヴァースピリット」がデビューしたことにともない、生産終了となりました。