かつてサーブの自動車部門として存在したサーブ・オートモビルは、1993年に中型乗用車「900」に15年ぶりにして初のフルモデルチェンジを実施し、2代目モデルに移行させました。GM(ゼネラル・モーターズ)傘下において開発されたことから、プラットフォームがそれまでの自社製から同じGMグループの「オペル・ベクトラ」のものに変更されていました。
サスペンション形式を一新
ボディタイプは、当初は5ドアハッチバックのみのラインナップでした。スタイリングはひと目でサーブ車と分かるフォルムを踏襲しながらも、先代よりもAピラーが寝かされるなどモダナイズが図られました。空力特性も向上し、Cd値は先代を大幅に下回る0.3を実現していました。ボディサイズは全長4,638mm×全幅1,712mm×全高1,435mmで、先代から全幅と全高が若干拡大されました。
また、ホイールベースは80mm以上延長され2,601mmとなりました。サスペンション形式は、フロントがダブルウィッシュボーン式からマクファーソンストラット式に、リアが5リンク式からトーションビーム式に変更されました。駆動方式はFFが踏襲された一方、エンジン・レイアウトは縦置きから横置きに変更されました。
オペル製V6エンジンを新設定
エンジンは、先代からキャリオーバーされた自社製の2L直4DOHC NA(最高出力130ps/最大トルク18kgm)と同ターボ(最高出力185ps/最大トルク26.8kgm)、および2.3L直4DOHC NA(最高出力150ps/最大トルク21.4kgm)に加え、新たにオペル製の2.5L V6DOHC NA(最高出力170ps/最大トルク23.1kgm)が用意されました。
トランスミッションは5速MTと4速トルコン式ATのほか、ターボ車には「センソニック」と呼ばれる電子制御アクチュエーター方式の5速セミATが設定されました。また、フロントがベンチレーテッド型となる4輪ディスク・ブレーキやラック&ピニオン式のステアリング形式は先代と共通ながら、自社製からオペル製に変更されていました。
カブリオレとクーペを追加
一方インテリアは、夜間にスピードメーターをのぞく各メーターの照明を任意にオン・オフできる「ブラックパネル」が採用されたことが特徴でした。グレード体系は、標準グレード「S」と上級グレード「SE」の2タイプのラインナップでした。その後翌1994年に2ドアカブリオレが1年遅れでフルモデルチェンジを受け、ラインナップに加わりました。
それと同時に、「クーペ」と呼ばれる3ドアハッチバックも追加されました。そして1998年にマイナーチェンジが実施され、車名が「9-3」に変更されました。日本市場への初上陸は1993年10月で、当初はNAエンジン搭載モデルのみのラインナップでした。その後、1994年10月にクーペとカブリオレが追加されました。
さらに1995年10月には、ターボエンジン搭載の「ターボクーペ」が追加されました。そしてモデル末期の1998年2月、5ドアの特別仕様車「タラデガ」が設定されました。