かつてサーブの自動車部門として存在したサーブ・オートモビルは、1997年に「9000」に代わる新たなフラッグシップモデル「9-5」をリリースしました。9000からのキープコンセプトであったものの、プラットフォームが親会社のGM製に変更されたほか、ボディの空力特性改善や安全性能の強化などが図られました。
優れた空力特性を実現
ボディタイプは4ドアセダンと、先代の5ドアハッチバックに代わって設定された5ドアステーションワゴンの2タイプのラインナップでした。スタイリングは、ひと目でサーブ車と分かる雰囲気を受け継ぎながらも、従来よりも丸みを帯びたフォルムに変貌しました。また、空力特性の指標となるCd値は、0.29~0.33という優れた数値を実現していました。
ボディサイズは全長4,805~4,808mm×全幅1,792mm×全高1,449~1,497mmで、9000から一回り拡大されました。また、ホイールベースも若干延長され2,703mmとなっていました。サスペンション形式はフロントにマクファーソンストラット式、リアにマルチリンク式が採用され、駆動方式は従来のサーブ車同様のFFが踏襲されました。
エンジンは当初、2種類の2L直4DOHCターボ(最高出力150ps/最大トルク24.5kgmおよび最高出力192ps/最大トルク31.6kgm)と2.3L直4DOHCターボ(最高出力170ps/最大トルク28.6kgm)、そして3L V6DOHC NA(最高出力200ps/最大トルク31.6kgm)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、5速MTまたは4速トルコン式ATでした。
インテリア面では、夜間にスピードメーター以外のメーターの照明をオフにできるサーブ独自の「ナイトパネル」が採用されました。また、安全装備としてSRSデュアル&サイドエアバッグシステムやアクティブヘッドレスト、ABSなどが標準装備されました。その後2000年に、2.3Lガソリン・ハイプレッシャーターボエンジン(最高出力230ps/最大トルク37.7kgm)搭載の高性能グレード「エアロ」が設定されました。
次いで2001年、いすゞ製の3L V6DOHCディーゼルターボエンジン(最高出力177ps/最大トルク35.7kgm)搭載車が、さらに翌2002年には、オペル製の2.2L直4ディーゼルターボエンジン(最高出力120ps/最大トルク28.6kgm)搭載車が追加になりました。
2010年FMCによりサーブ 9-5は2代目に移行
2010年にサーブ 9-5はフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。
ボディタイプは4ドアセダンのみに整理され、スタイリングはより洗練された雰囲気に変貌しました。ボディサイズは全長5,008mm×全幅1,868mm×全高1,466mmと一回り大きくなり、ホイールベースも大幅に延長され2,837mmとなりました。また、サスペンション形式はリアがHアーム式に変更されました。
駆動方式はFFのほかフルタイム4WDが設定され、エンジンは当初2L直4DOHCターボ(最高出力223ps/最大トルク25.5gm)および2.8L V6DOHCターボ(最高出力300ps/最大トルク35.7kgm)のガソリンと、2種類の2L直4DOHCディーゼルターボ(最高出力162ps/最大トルク35.7gmおよび最高出力193ps/最大トルク40.8kgm)が用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、6速MTまたは6速トルコン式ATでした。そして翌2011年に1.6L直4DOHCガソリンターボエンジン(最高出力182ps/最大トルク23.5kgm)が追加されたものの、同年サーブ・オートモビルが経営破綻したため、翌2012年を持って生産は打ち切られました。