GM(ゼネラルモーターズ)は1985年に100%出資の子会社「サターン」を立ち上げ、その5年後の1990年に同ブランド初の市販モデルとなるコンパクトカー「Sシリーズ」を発売しました。アメリカ市場において大きなシェアを獲得していた日本製などのコンパクトカーに対応すべく、燃費・環境性能や生産・整備性などを重視した設計が取り入れられました。
ボディは3タイプ
車体の構造は、新開発の「Zプラットフォーム」とスペースフレーム・ボディの組み合わせが採用されました。ボディタイプは、当初「SL」と呼ばれる4ドアセダンと「SC」と呼ばれる2ドアクーペの2種類がラインナップされました。スタイリングはスラントした低いノーズが特徴で、ヘッドランプはSLには固定式、SCにはリトラクタブル式が採用されました。
ボディ・ディメンションは全長4,465~4,480mm×全幅1,715~1,717mm×全高1,285~1,334mm、ホイールベース2,520~2,600mmで、アメリカ車としては極めてコンパクトにまとめられていました。駆動方式はFFで、エンジンは当初1.9L直4SOHC(最高出力86ps/最大トルク14.8kgm)のみの設定でした。組み合わせられるトランスミッションは、5速MTまたは4速トルコン式ATでした。
サスペンション形式は、フロントにマクファーソンストラット式、リアに3リンク・ストラット式が採用されました。その後1991年に5ドアステーションワゴンの「SW」が追加され、1993年にはマイナーチェンジにより内装デザインが刷新されると同時に、1.9L直4DOHCエンジン(最高出力125ps/最大トルク16.7kgm)搭載車が追加されました。
2度のフルモデルチェンジを実施
次いで1995年に実施された2度目のマイナーチェンジでは、エクステリアの変更とともにSOHCエンジンのアウトプットが最高出力101ps/最大トルク15.8kgmに向上しました。追って翌1996年に初のフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。初代からのキープコンセプトで、プラットフォームやパワートレインがキャリオーバーされました。
エクステリア・デザインは、スラントノーズを踏襲しながらもやや丸みを帯びたフォルムに変貌しました。ボディサイズは先代とほぼ同等で、ホイールベースは2,601mmに一本化されました。続いて2000年には2度目のフルモデルチェンジが実施され、3代目モデルに移行しました。これも2代目モデルからのキープコンセプトで、基本コンポーネンツがキャリオーバーされました。
スタイリングも従来の延長線上にあり、ボディ・ディメンションにも大きな変更はありませんでした。そして2002年をもって、後継モデル「アイオン」にバトンを渡し生産終了となりました。日本市場においては、1997年に2代目SL/SC/SWの導入が開始されたものの、2001年をもって3代目モデルへの引継ぎのないまま販売終了となりました。