1966年に富士重工業初の市販普通乗用車としてデビューした「スバル・1000」は、1969年3月のマイナーチェンジにより車名が「スバル・ff-1」となりました。優れた基本設計に大きな変更はなく、排気量アップによる出力向上や豪華さの追求などが主な変更点でした。のちに再度マイナーチェンジが行われ、「スバル・ff-1 1100/1300G」に移行しました。
フロントグリルなどを変更
ボディタイプは1000時代と同様、2ドア/4ドアセダンと2ドア/4ドアライトバンが用意されました。スタイリングは基本的には1000と共通であったものの、フロントグリルの意匠をはじめディテールには変更が施されていました。ボディ・ディメンションは全長3,900~3,930mm×全幅1,480mm×全高1,390mm、ホイールベース2,420mmで、実質的に1000から変更はありませんでした。
サスペンション形式は、フロントがダブルウィッシュボーン/トーションバー式、リアがトレーリングアーム/トーションバー式による4輪独立懸架が踏襲されました。ライバルの「トヨタ・カローラ」や「日産・サニー」がリアに古典的なリジッド・リーフ式サスペンションを採用していたことに比較すると、依然として先進的な機構でした。
スバル ff-1の走行シーン
排気量を約100cc拡大
駆動方式も当時の国産大衆車として唯一であったFFを踏襲し、エンジンは1000に搭載されていた水冷1L水平対向4気筒OHVのEA52型をベースに排気量を1.1Lに拡大したEA61/EA61S型が搭載されました。EA61型がシングルキャブレター仕様、EA61S型がツインキャブレター仕様で、最高出力/最大トルクはそれぞれ62ps/8.7kgm、77ps/8.8kgmとなっていました。
組み合わせられるトランスミッションは、前者がフロア式またはコラム式の4速MT、後者がフロア式の4速MTでした。最高速度は、シングルキャブレターエンジン搭載車が145km/h、ツインキャブレターエンジンを搭載するスポーティグレード「スポーツセダン」が160km/hでした。一方インテリアは、1000時代からインパネの一部やステアリングホイールなどが変更されていました。
1.3L車を追加
そして1970年7月のマイナーチェンジによりスバルff-1 1100/1300Gとなり、フロントグリルの意匠などが変更されるとともに、リアサスペンションがセミトレーリングアーム式に変更されました。同時に、排気量を1.3Lに拡大したEA62/EA62Sエンジン搭載車(1300G)が追加されました。最高出力/最大トルクはEA62型が80ps/10.1kgm、EA62S型が93ps/10.5kgmでした。
また、1.1Lツインキャブレター仕様のEA61S型エンジンは廃止されました。一方インテリア面では、インパネがクラッシュパッド付きの新デザインに変更されました。次いで1971年4月実施のマイナーチェンジでは、フロントグリルやリアコンビネーションランプの意匠などが変更されました。そして同年10月に、後継モデルの「スバル・レオーネ」が登場しました。
その後、レオーネのバリエーション拡大にともないff-1 1100/1300Gはラインナップを縮小、1972年9月には全車販売終了となりました。