トヨタ自動車は1998年8月、初代「イプサム」や「ガイア」と共通のプラットフォームに専用ボディを架装した新型トールワゴン「ナディア」を発売しました。室内は3列シートのイプサムやガイアと異なり2列シート5人乗り仕様で、後席スペースの広さや多彩なシートアレンジなどが独自の持ち味となっていました。
直噴エンジンを設定
ボディタイプはイプサムやガイア同様オールヒンジ式ドア採用の5ドアで、丸みを帯びたワンモーション風のスタイリングが特徴でした。初期型のボディサイズは全長4,525mm×全幅1,695mm×全高1,620~1,650mm、ホイールベースは2,735mmで、同一ホイールベースのイプサムやガイアよりも全長が短いディメンションでした。車両重量は1,350~1,450kg(初期型)でした。
サスペション形式はイプサムやガイア同様フロント:マクファーソンストラット式/リア:トーションビーム式で、駆動方式も同様にFFとフルタイム4WDが設定されました。エンジンは当初、イプサムやガイアにも搭載される2L直4DOHCの3S-FE型(最高出力135ps/最大トルク18.5kgm)の他、同直噴仕様の3S-FSE型(最高出力145ps/最大トルク20kgm)が用意されました。
トランスミッションは、全車にコラム式の4速トルコン式ATが採用されました。室内は、イプサムやガイアとは意匠が異なるセンターメーター式のインパネが採用された他、フロントシートを回転しての対面対座や、5対5分割可倒式リアシートを独立してスライド/リクライニングさせる事が可能でした。
安全装備面では、全車にABSやSRSデュアルエアバッグシステム、プリテンショナー&フォース付きシートベルトが採用されました。発売時のグレード体系は、3S-FE型エンジン搭載の「2.0」と3S-FSE型エンジン搭載の「2.0 D-4」の2タイプが基本で、更にそれぞれにスポーティ仕様の「Sセレクション」とラグジュアリー仕様の「Lセレクション」が設定されました。
トヨタ ナディアのCM
3ナンバーサイズのSUシリーズを追加
そして同年10月、モデリスタの手により専用エアロパーツが装着された特装車「アメリカンビレットバージョン」が設定されました。次いで1999年6月に、専用エクステリアや大径タイヤを採用すると共に、ボディを一回り拡大し3ナンバーサイズとした3S-FE型エンジン搭載グレード「タイプSU2.0」「タイプSU2.0 LSセレクション」「タイプSU2.0 SSセレクション」が追加されました。
次いで2001年4月のマイナーチェンジで、内外装デザインの変更や装備の充実化が行われると共に、FF車のエンジンが新世代の2L直4DOHC直噴ユニット1AZ-FSE型(最高出力152ps/最大トルク20.4kgm)に一本化されました。同時にグレード体系も変更され、標準ボディが「X」「L」「S」、ワイドボディが「タイプSU X」「タイプSU L」「タイプSU S」となりました。
続いて2002年7月の一部改良で、フルタイム4WD車にも1AZ-FSE型エンジンが採用されました。そして2003年8月、後継モデルの発売もなく生産終了となり、ナディアの車名は一代限りでラインナップから消滅しました。