アルファロメオはフィアットの傘下に入った翌年の1987年に、「90」の実質的な後継モデルとなるフラッグシップ4ドアセダン「164」を発表しました。当初は90同様のFR方式+トランスアクスルレイアウトを踏襲する計画であったものの、経営難によりフィアット、ランチア、サーブとの共同による「Tipo4」プロジェクトに参加した為、4社共通のFFプラットフォームが採用されました。
デザインはピニンファリーナが担当
ボディのデザインを手掛けたのはピニンファリーナで、Cd値0.3の空力的に洗練されたフォルムを備えていました。初期型のボディサイズは全長4,555mm×全幅1,760mm×全高1,400mmで、全高を除き90よりも一回り大きく、ホイールベースも150mm長い2,660mmに設定されていました。車両重量は初期型で1,200~1,490kgでした。
サスペンション形式は、90のフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:ド・ディオン・アクスル式から全面的に変更され、4輪ストラット式が採用されました。エンジンは発売当初、自社製2L直4DOHC NA、フィアット・ランチア製2L直4DOHCターボ、自社製3L V6SOHC NAの3種のガソリンユニットと、VM製2.5L SOHCディーゼル・ターボの全4種類が用意されました。
最高出力/最大トルクは、ガソリン2L NAが150ps/19kgm、同2Lターボが177ps/27kgm、同3Lが195ps/25kgm、ディーゼル2.5Lが125ps/30kgmでした。トランスミッションは3L車に4速トルコン式ATが用意された他は、全車5速MTとの組み合わせでした。そして1990年に、3L V6エンジンのチューンナップ版(最高出力203ps/最大トルク26.9kgm)を搭載する限定モデル「クアドリフォリオ」が追加されました。
DOHC24バルブエンジン搭載の「スーパー」を追加
次いで1991年には、2Lターボ車のエンジンが自社製のV6DOHC(最高出力210ps/最大トルク29.5kgm)に置換されました。そして翌1992年に、ボディの衝突安全性能の強化や内外装の一部変更が実施されました。同時に3L DOHC24バルブエンジン(最高出力210ps/最大トルク27.5kgm)を搭載し、前後バンパーの大型化により全長を110mm延長した「スーパー」が追加され、従来モデルは「FL」と名付けられました。
次いで翌1993年に、3L V6DOHCエンジンと6速MTを搭載するフルタイム4WDモデル「Q4」が追加されました。続いて1995年に小改良が実施されると共に、全車スーパー系のボディに統一されました。同時に、グレード名がスーパーが「スーパー24V」に、それ以外が「スーパー12V」に変更されました。そして1998年に、後継モデルの「166」に後を譲り生産終了となりました。
尚、日本には1987年から1997年に掛けて、3L V6エンジン搭載車のみ(クアドリフォリオ、Q4を含む)が輸入されました。