フェラーリは1965年のパリサロンで、それまでの12気筒エンジン搭載のFRモデルと別ラインとなる、6気筒エンジンを搭載したMR方式のプロトタイプ「ディーノ・ベルリネッタ・スペチアーレ」を発表しました。そして翌1966年のトリノショーでより市販化に適合した「ディーノ・ベルリネッタGT」が公開された後、1967年に市販モデルとして正式にデビューを飾りました。
ディーノ206GTはオールアルミボディを採用
エンツォ・フェラーリは12気筒モデル以外にフェラーリのブランド名を冠さないとのポリシーを持っていた為、プロトタイプ同様息子のディーノの名を取り、「ディーノ206GT」と命名されました。デザインを手掛けたのは、「フェラーリ・275」シリーズ同様ピニンファリーナで、オールアルミ製となる流麗なクーペボディの生産はハンドメイドで行われました。
ボディサイズは全長4,150mm×全幅1,700mm×全高1,155mmで、従来の同社製ロードカーよりも一回り小ぶりにまとめられていました。又、ホイールベースも2,280mmと短く、車両重量は900kgと軽量に抑えられていました。サスペンション形式は、12気筒モデル同様4輪ダブルウィッシュボーン式を採用する一方、ステアリング形式は異なりラック&ピニオン式が採用されました。
又、ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式が奢られました。エンジンは、コンペティションモデル「ディーノ206SP」からキャリオーバーされた2L V6DOHCで、ウェーバー3連キャブレターを装備し最高出力180HP/7,400rpm・最大トルク17.85kgm/5,600rpmのアウトプットを発生しました。5速MTを介しての最高速度は、カタログ値で225km/hと発表されました。
ディーノ 246GTの解説動画
ディーノ246GT/GTSとなりパフォーマンスが向上
1968年には、早くも改良型の「ディーノ246GT」が登場しました。基本的なフォルムは206GTに類似するものの、ボディパネルが一新されると共に素材がスチールに変更されました。ボディスペック面では、206GTから全長が90mm、全高が25mm拡大されると共に、ホイールベースが60mm延長された事でスタビリティが改善されました。
車両重量は180kg増加し、1,080kgとなりました。エンジンは排気量が2.4Lに拡大され、アウトプットが最高出力195HP/7,600rpm・最大トルク22.9kgm/5,500rpmに向上しました。それに伴い最高速度が235km/hに向上した他、トルク特性が206GTよりもフラットになり扱い易さが増していました。又、タイヤサイズが185VR14から205/70VR14へとワイド&扁平化が図られました。
246GTは、生産時期により「ティーポL」「ティーポM」「ティーポE」の3タイプに分類され、それぞれ仕様が若干異なっていました。特に1971年から生産されたティーポEでは、生産工程が量産化に適したプレス工程に変更されると共に、ヒーターの改良やクーラの設定など快適性の向上が図られました。同時に、スパイダー(カブリオレ)の「GTS」が追加されました。
そして1973年に後継モデルの「ディーノ 308GT4」がデビューした事に伴い、翌1974年に生産終了となりました。