1968年11月、アウディAGの前身であったアウトウニオンAGは、それまでの最上級モデル「アウディ・スーパー90」の上位に位置する新たなフラッグシップモデル「アウディ・100」を発表しました。スーパー90などと同様の水冷エンジン+FF方式が採用されるなど、空冷エンジン+RR方式を採用していた親会社のフォルクスワーゲン車よりも遥かに近代的なメカニズムを備えてました。
まず4ドアセダンがデビュー
ボディタイプは当初、4ドアセダンのみのラインナップで、スタイリングはスーパー90譲りのボクシーなフォルムと角形2灯式ヘッドランプが採用されました。ボディサイズは全長4,590mm×全幅1,729mm×全高1,421mmで、スーパー90より一回り大きく、ホイールベースは200mm近く長い2,675mmに設定されました。
サスペンション形式は、フロントはスーパー90同様のダブルウィッシュボーン式が踏襲された一方、リアはトレーリングアーム式からトーション・クランク・アクスル式に変更されました。縦置きにマウントされるエンジンはスーパー90譲りの1.8L直4OHVで、当初チューニングの異なる3種類(最高出力80ps/90ps/100ps)が用意されました。
2ドアセダンとクーペを追加
トランスミッションはスーパー90同様4速MTが組み合わせられた他、ラック&ピニオン式のステアリング形式や、フロント:ディスク式/リア:ドラム式のブレーキ形式もスーパー90から踏襲されました。グレード体系は、下から「L」「LS」「GL」の3タイプがラインナップされました。そして1969年10月、新たなボディバリエーションとして2ドアセダンが追加されました。
次いで1970年4月には、GLに3速トルコン式ATが設定されました。更に同年秋、ファストバックのフォルムと丸型4灯式ヘッドランプが備わる2ドアクーペ「クーペS」がラインナップに加わりました。ボディサイズは全長4,398mm×全幅1,750mm×全高1,370mmで、セダンよりも短くかつワイド&ローなディメンションとなり、ホイールベースは115mm短い2,560mmに設定されました。
又、エンジンはボアアップ版の1.9L(最高出力115ps)が搭載されました。次いで1972年、セダン用80ps/90ps仕様エンジンが最高出力85psに変更・一本化されました。同時に、クーペに搭載される1.9Lエンジンが仕様変更を受け最高出力が112psとなった他、セダンGLにも同ユニットが採用されました。
続いて1973年9月にマイナーチェンジが実施され、フロントグリルやテールランプなどの意匠が変更されると同時に、リアサスペンションのスプリングがトーションバー式からコイル式に変更されました。次いで1975年、セダンLのエンジンが弟分の「80」に搭載される1.6L直4SOHCに置換されました。そして翌1976年にフルモデルチェンジが実施され、2代目C2系に移行しました。