富士重工業は1972年7月、「スバル R2」の後継車種となる新型軽乗用車「スバル・レックス」を発売しました。プラットフォームやエンジンなど主要コンポーネンツがR2からキャリオーバーされた一方、それとは対照的なウェッジシェイプのフォルムや前年にデビューした大衆車「スバル・レオーネ」譲りのフロントマスクが採用されるなど、外観が一新されました。
当初は2ストロークエンジンを搭載
ボディタイプは当初2ドアセダンのみが用意され、ボディサイズは全長2,995mm×全幅1,295mm×全高1,255mmという当時の軽自動車規格に準じたものでした。R2との比較においては、スタイリング重視の設計思想により全高が90mm低く設定された事が特徴でした。ホイールベースはR2と同一の1,920mmで、サスペンション形式も4輪セミトレーリングアーム式による4輪独立懸架が踏襲されました。
駆動方式もRRが踏襲され、エンジンはR2水冷エンジン車と同様の2ストローク360cc直列2気筒のEK34型が採用されました。圧縮比の異なる2種類のシングルキャブレター仕様とツインキャブレター仕様が用意され、最高出力/最大トルクはそれぞれ32ps/4.1kgm、35ps/4kgm、37ps/4.2kgmでした。トランスミッションは、全車に4速MTが組み合わせられました。
排ガス対策の為エンジンを4ストローク化
そして翌1973年3月、32ps仕様エンジンに2ストローク車独特のアイドリング音を低減する「スバルISV」が装備されると共に、同エンジンを搭載する4ドア車が追加されました。次いで同年10月のマイナーチェンジにより、全車のエンジンが昭和48年排出ガス規制に適合する4ストローク直列2気筒SOHCのEK21型(最高出力31ps/最大トルク3kgm)に置換・一本化されました。
それに伴い、スポーティグレードは廃止されました。次いで1974年2月に5速MT車とテールゲートを新設した2人乗りバンが、追って同年9月にバンをベースとした4人乗りのワゴンが、更に翌1975年3月にはハイルーフ仕様の4人乗りバンが追加されました。次いで同年12月のマイナーチェンジで、フェイスリフトと共にエンジンが昭和51年排出ガス規制適合の「SEEC-T」仕様に置換されました。
スバル レックスのCM
規格変更に伴いボディとエンジンを拡大
エンジンのスペックは若干低下し、最高出力28ps/最大トルク2.9kgmとなりました。続いて翌1976年5月、軽自動車新規格に対応した「レックス5」にマイナーチェンジされ、ボディサイズが従来から全長が190mm、全幅が100mm拡大されると共に、エンジンが500ccに拡大されたEK22型(最高出力31s/最大トルク3.8kgm)に置換されました。
更に1977年5月、エンジンを昭和53年排出ガス規制に適合した550ccのEK23型(最高出力31ps/最大トルク4.2kgm)に置換した「レックス550」に移行しました。追って1978年3月に2ドアセダンにガラスハッチを装備した「スイングバック」が、次いで1980年3月に電磁クラッチ採用の2ペダル車「オートクラッチ」(最高出力28ps/最大トルク4.2kgm)が追加されました。
そして1981年10月にフルモデルチェンジが実施され、2代目レックスに移行しました。
スバル レックスの前身 R-2
2代目レックス