ダイムラー・クライスラー(現ダイムラーAG)は2003年のフランクフルト・ショーにおいて、英国マクラーレン社と共同開発した2シータースーパーカー「SLRマクラーレン」を発表しました。軽量高剛性なカーボンコンポジット製ボディに大排気量過給器付エンジンが搭載され、当時としてトップレベルの性能を誇りました。
バタフライドアを採用
ロングノーズ・ショートデッキのプロポーションを持つクーペボディには、上方に跳ね上がるバタフライドアとエアブレーキ機能付きのアダプティブ・リアスポイラーが備わっていました。ボディスペックは全長4,656mm×全幅1,908mm×全高1,261mm、ホイールベース2,700mm、車両重量1,768kgでした。
駆動方式はFRで、エンジンは5.4L V8SOHCスーパチャージド(最高出力626ps/6,500rpm・最大トルク79.5kgm/3,250-5,000rpm)がフロントミッドシップに搭載されました。トランスミションは5速トルコン式AT「AMGスピードシフト」が組み合わせられ、最高速度335km/h・0-100km/h加速3.8sの動力性能を発揮しました。
サスペンション形式は4輪ダブルウィッシュボーン式で、ブレーキはフロントがベンチレーテッド型となる4輪セラミック・ディスクブレーキ「C-BRAKE」が採用されました。又、安全装備としてSRSデュアル&サイドエアバッグシステムやEBD付ABS、電子制御ブレーキ「SBC」、横滑り防止装置「ESP」などが装備されました。
高性能版やオープンモデルを追加
一方インテリアは、シートやインパネ、センタコンソールなどの素材にナッパレザーやアルカンタラが用いられた他、BOSE製オーディオシステムなどが備わる豪華なものでした。販売は受注生産方式で行われ、日本では2004年10月に販売価格5,775万円にて発売されました。そして2006年11月に、更なる高性能化を図った世界限定150台販売モデル「722エディション」が設定されました。
エンジンのアウトプットが最高出力650ps/6,500rpm・最大トルク83.6kgm/4,000rpmまで高められると共に、車両重量が44kg軽量化され、最高速度は2km/h高い337km/hに向上、0-100km/h加速は0.2s短縮され3.6sとなりました。同時に、専用の内外装や改良型のアダプティブ・リアスポイラー、強化サスペンションや強化ブレーキなどが採用されました。日本での販売価格は6,300万円でした。
次いで2007年5月、半自動式ソフトトップが備わるオープンモデル「ロードスター」が発表されました。特徴的なバタフライドアが踏襲された他、横転時の安全対策としてロールオーバーバーが装着されると共に、Aピラーに強化が施されました。パワートレインはク-ペ標準仕様と同一で、最高速度は3km/h低い332km/hとなりました。日本での販売価格は7,000万円でした。
次いで2009年4月には、ロードスターをベースにクーペ722エディションと同等のバージョンアップを図った「ロードスター722エディション」が世界限定150台で発売されました。日本への割り当ては2台で、販売価格は7,300万円でした。そして2009年5月をもって全モデル生産終了となりました。