プジョーは1965年4月、かつての「203」から大型化した「403」や「404」では賄いきれなくなったユーザー層を取り込む為の小型乗用車「204」を発表しました。同社初のFF方式採用車となった他初のSOHCエンジン搭載車ともなるなど、プジョー車の歴史の中でエポックメイキングな存在となりました。
4輪独立懸架を採用
当初5人乗り4ドアセダン「ベルリーヌ」のみが用意されたボディのデザインは、403/404同様にピニンファリーナにより手掛けられました。そのスタイリングは、角形2灯式ヘッドランプ採用のフロントマスクや尻下がりのフォルムなど、後に登場する「504」への布石ともなる特徴を備えていました。
ボディサイズは全長3,970mm×全幅1,560mm×全高1,400mmで、403/404より一回り以上コンパクトに纏めら、ホイールベースもそれらよりも短い2,590mmに設定されていました。車両重量は850kgで、1トンを超える403/404よりも遥かに軽く抑えられていました。エンジンは、オールアルミ製のガソリン1.1L(1,136cc)直4が横置きにマウントされました。
スペックは最高出力53hp/最大トルク8.3kgmで、4速コラム式MTを介しての最高速度は140km/hでした。サスペンション形式は、フロントは403/404と同様のマクファーソンストラット式となる一方、リアはリジッド式のそれらとは異なり、トレーリングアーム/コイル式による独立懸架が採用されました。又、ブレーキはフロントにディスク式が採用された事が特徴でした。
ボディとエンジンのバリエーションを拡充
そして同年9月、5人乗り5ドアステーションワゴンの「ブレーク」が追加されました。次いで翌1966年3月には、ベルリーヌに1.1Lエンジンの高出力版(最高出力55hp/最大トルク8.4kgm)と、それとはボア×ストロークが異なる1.1L(1,127cc)直4SOHCエンジン(最高出力59hp/最大トルク8.2kgm)が用意され、同年7月にはブレークもこの2つのエンジンが選べるようになりました。
更に同年10月、オープン・2シーターの「カブリオレ」とフィクスドヘッド・2+2シーターの「クーペ」、そして3ドア・2シーター仕様の商用バン「フルゴネット」がラインナップに加わりました。これらの内カブリオレ/クーペのボディサイズは、全長3,740mm×全幅1,570mm×全高1,320mm(カブリオレ)/1,300mm(クーペ)とベルリーナよりもコンパクトに纏められていました。
次いで1967年9月、ブレークに1.3L直4SOHCディーゼルエンジン(最高出力40hp/最大トルク6.7kgm)搭載車が追加されました。続いて1970年にカブリオレ/クーペがカタログ落ちし、1974年11月にはベルリーヌに1.4L直SOHCディーゼルエンジン(最高出力45hp/最大トルク7.9kgm)搭載車が追加されました。
そして1976年7月にベルリーヌが生産終了となり、1980年にはブレーク/フルゴネットも生産を終了しました。