ルノーは1972年1月、新型ハッチバックコンパクトカー「5(サンク)」を発表しました。1961年に発売した「4」をベースとしながら、それよりも遥かに洒脱なボディを纏い、4譲りのトータルバランスの高さと相まって欧州でベストセラーカーの座に着きました。バリエーションも順次拡大され、12年間に渡り生産が続けられるロングセラーカーともなりました。
3ドアボディのみでデビュー
ボディタイプは、4枚の乗降用ドアが備わるのが当たり前だった当時のフランス車には珍しく、当初は3ドアハッチバックのみの設定でした。スタイリングは、台形をモチーフとしたモダンかつプレーンなフォルムが特徴で、人気の大きな要因となりました。ボディサイズは全長3,506mm×全幅1,525mm×全高1,400mmで、4よりも短く広く、そして低いディメンションでした。
プラットフォームを4と共有する為、右が2,404mm、左が2,434mmとなるホイールベースもほぼ同一(※但し4は右の方が長い)でした。サスペンション形式も4と同一のフロント:ダブルウィッシュボーン/トーションバー式・リア:トレーリングアーム/トーションバー式で、縦置きFFの駆動方式も踏襲されました。又、ブレーキはフロントにディスク式が採用されました。
当初の搭載エンジン及びグレードは、4譲りの782cc直4OHV(最高出力30hp)を搭載する「L」と、956cc直4OHV(最高出力47hp)を搭載する「TL」の2タイプで、トランスミッションは共に4速MTが組み合わせられました。そして1974年に、1,289cc直4OHVエンジン(最高出力63hp)を搭載する「LS」が追加されました(翌1975年にグレード名を「TS」に変更)。
ホッチハッチや5ドアを追加
次いで1976年、エアロバンパーやバケットシート、アルミホイールなど専用の内外装や足回りが備わるボディに、1.4L直4OHVエンジン(最高出力93hp)+5速MTを搭載するホットハッチ「アルピーヌ」が追加されました。又、同じ年にLのエンジンが845cc(最高出力36hp)に置換された他、3速トルコン式ATを搭載する「オートマチック」が追加されました。
続いて1979年に5ドアが追加され、翌1980年にはTLのエンジンが1,108cc(最高出力44hp)に置換されました。更に1981年、アルピーヌに代わり、1.4L直4OHVターボエンジン(最高出力110hp)を搭載し、アルミホイールとドアミラーの意匠を変更した「アルピーヌ・ターボ」が登場しました。そして1984年10月にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルにバトンタッチされました。
日本市場においては、バンパーを大型化すると共にヘッドランプを角型から丸型に代えた北米仕様がベースの1.3Lモデルが1976年に初上陸しました。その後、右ハンドル仕様車や5ドア車、アルピーヌ/アルピーヌ・ターボも導入されました。