フォード・モーターは1986年、新型Aセグメント・コンパクトカー「フェスティバ」を発売しました。当時業務提携を結んでいたマツダが設計を担当し、生産はマツダおよび韓国の起亜自動車により行われました。欧米や中国など多くの国で販売された他、日本においてもマツダ・オートラマ系列店を通じ販売が行われました。
日本向けはハッチバックとバンを用意
ボディタイプは、3ドア/5ハッチバック、4ドアセダン、5ドアステーションワゴン/バンなどがラインナップされました。これらのうち、日本市場では3ドア/5ドアハッチバックの他、5ドアバンが「ファスティバカーゴ」の車名で販売されました。スタイリングは、台形のフォルムや直線基調のボディラインなどにより、ヨーロッパ車調のプレーンな雰囲気にまとめられていました。
ボディサイズは全長3,475~3,620mm×全幅1,605~1,615mm×全高1,460~1,470mmで、ホイールベースは2,295mmでした。駆動方式はFFで、エンジンは当初、1.1L直4SOHC(最高出力52ps/最大トルク8.8kgm)と1.3L直4SOHC(最高出力64ps/最大トルク10.4kgm)が用意されました。トランスミッションは、1.1Lには4速MTが、1.3Lには5速MTまたは3速トルコン式ATが組み合わせられました。
サスペンション形式は、フロントにマクファーソンストラット式、リアにトーションビーム式が採用されました。ステアリング形式はラック&ピニオン式で、パワーステアリングがグレードにより標準装備またはオプション設定されました。また、ブレーキは全車にフロント:ディスク式/リア:ドラム式が採用されました。
フォード フェスティバのCM
新車情報 ’86 フォード・フェスティバ
M/Cと同時に豪華版やスポーティモデルを追加
日本向けハッチバックモデルのグレード体系は、当初下から1.1L/1.3Lエンジン搭載の「ジュニア」、1.3Lエンジン搭載の「L」「アイシア」「ファイブ」「SX」がラインナップされました。こららのうち、Lには2シーター仕様も設定されました。その後1989年にマイナーチェンジが実施され、フロントグリルの意匠や内装が変更されました。
同時に、レザー・インテリアが備わる1.3Lエンジン搭載の豪華グレード「GHIA(ギア)」と、1.3L直4DOHCエンジン(最高出力88ps/最大トルク10.0kgm)を搭載し、扁平ワイドタイヤを装着するスポーティグレード「GT-X」が追加されました。次いで1990年、1.1L/1.3L SOHCエンジンを搭載する新グレード「ジュニアエクストラ」が追加されました。
同時に、アイシア/SX/GHIA/GT-Xにキャンバストップ仕様が設定されました。同クラスの国産車には他にキャンバストップが設定されるモデルがなかったため、フェイスティバのセリングポイントのひとつになりました。モデル末期にはGT-Xをベースとして丸型ヘッドライトを装着した300台限定のスポーティ仕様「フェスティバ GT-A」も販売されました。
そして1993年にフルモデルチェンジが実施され、2代目フェスティバに移行しました。