BMWは1968年に開催されたパリ・サロンにおいて、4気筒エンジン搭載の中型乗用車「1600/1800/2000」シリーズの上級モデルとなる、6気筒エンジン搭載の大型乗用車「2500/2800」を発表しました。E3系と呼ばれるこのモデルは、同社の6気筒エンジン搭載車としては1964年に生産終了となった「2600」シリーズ以来のものでした。
4灯式ヘッドランプで差別化
ボディタイプは4ドアセダンのみの設定であったものの、派生モデルとして「2000C/2000CS」をベースとした2ドアクーペ「2800CS」が同時発表されました。スタイリングは、1600/1800/2000シリーズ譲りの直線的かつプレーンなボディラインが踏襲されたほか、フロントマスクは丸型4灯式ヘッドランプの採用により差別化が図られました。
ボディサイズは全長4,700mm×全幅1,730mm×全高1,450mmで、1600/1800/2000シリーズから一回り拡大されていました。また、ホイールベースも140mmほど長い2,692mmに設定されました。車両重量は2500が1,295kg、2800が1,334kgでした。サスペンション形式は1600/1800/2000シリーズと共通で、フロントにマクファーソンストラット式、リアにセミトレーリングアーム式が採用されました。
「シルキー・シックス」のフィーリング
駆動方式もコンベンショナルなFRが踏襲され、エンジンは2500には2.5L直6SOHCゼニス・ツインキャブレター仕様(最高出力150ps/最大トルク21.5kgm)が、2800には2.8L直6SOHCゼニス・ツインキャブレター仕様(最高出力170ps/最大トルク24.1kgm)が搭載されました。こららのエンジンは、そのスムーズな回転フィールにより「シルキー・シックス」と称されました。
組み合わせられるトランスミッションは4速MTまたは3速トルコン式ATで、最高速度は2500が190km/h、2800が200km/h(※いずれもMT仕様の数値)という優れたパフォーマンスを示しました。また、ステアリング形式は1600/1800/2000シリーズと同様のウォーム&ローラー式で、ブレーキはリアにもディスク式を奢り4輪ディスク式となっていました。
その後1971年4月に、3L直6SOHCソレックス・ツインキャブレター仕様エンジン(最高出力180ps/最大トルク26kgm)を搭載する「3.0S」が、追って同年9月には、同エンジンのボッシュ燃料噴射仕様版(最高出力200ps/最大トルク28.2kgm)を搭載し、最高速度211km/hの性能を持つ「3.0Si」が追加されました。
ロングボディを追加
次いで1973年、「メルセデス・ベンツ・SEL」への対抗馬として、全長とホイールベースをそれぞれ100mmずつ延長した4ドアボディに、3.3L直6SOHCソレックス・ツインキャブレター仕様エンジン(最高出力190ps/最大トルク29.5kgm)を搭載する「3.3L」がリリースされました。追って1975年には、このロングボディに2.5L/2.8L/3Lエンジンを搭載する「2.5L」「2.8L」「3.0L」が追加されました。
同時に、3.3Lに代わり3.2L直6SOHCボッシュ燃料噴射仕様エンジン(最高出力200ps/最大トルク29.1kgm)を搭載する「3.3Li」が設定されました。そして1977年、後継モデルの初代「7シリーズ」に後を譲り生産終了となりました。