F1メーカーとして名高いマクラーレン社のロードカー部門として2009年に誕生したマクラーレン・オートモティブは、2012年のパリ・サロンにおいて新型スーパーカー「P1」を発表しました。MP4-12Cからさらに軽量化が図られたボディに、より高性能なハイブリッド・ユニットを搭載したモデルで、2014年から2016年にかけてデリバリーが行われました。
独自の「モノケージ」構造を採用
ボディの構造は、MP4-12Cに採用されたカーボンファイバーセル「モノセル」をベースに、ルーフやバッテリーのケーシングなどを追加するとともにさらなる軽量・高剛性化を図った「モノケージ」が採用されました。同様にカーボン製となるボディのバリエーションは、2ドア・フィクスドヘッドクーペのみの設定で、MP4-12Cの設定のあったスパイダーは最後まで用意されませんでした。
エクステリアは、フロントまわりやリアまわりのイメージが一新されるとともに空力特性が追求され、Cd値は0.34を実現ました。ボディサイズは全長4,588mm×全幅1,946mm×全高1,188mmで、MP4-12Cとの比較では全長と全幅が拡大された一方、全高は僅かに低められていました。ホイールベースは2,670mmで、MP4-12Cと共通でした。また、車両重量は1,395kgで、40kgの軽量化を実現していました。
動力性能と環境性能を両立
駆動方式はMRを踏襲し、パワートレインはMP4-12C用の3.8L V8DOHCツインターボエンジンのチューニング版(最高出力737ps/7,500rpm・最大トルク73.4kgm/4,000rpm)と電気モーター(最高出力179ps/最大トルク13.3kgm)を組み合わせたものが搭載されました。トランスミッションはMP4-12C同様7速DCTが組み合わせられ、最高速度350km/h・0-100km/h加速2.8sの性能を発揮しました。
MP4-12Cとの比較では最高速度が20km/h高く、0-100km/h加速タイムは0.5s短縮されていました。それと同時に、CO2排出量はスーパーカーとしては驚異的に低い194CO2g/kmを実現していました。また、ノーマル/スポーツ/トラックの3つの走行モード切替機能が備わるほか、モーターのみで最長約10kmの走行が可能となる「Eモード」も用意されました。
MP4-12C同様4輪ベンチレーテッドタイプとなるブレーキは、ディスクローター径がフロントが20mm大きい390mm、リアが30mm大きい380mmに拡大されました。同時にホイール&タイヤもワイド化が図られ、フロントに9J×19インチホイール+「ピレリ・Pゼロコルサ」245/35R19タイヤが、リアに11.5J×20インチホイール+「ピレリ・Pゼロコルサ」315/30R20タイヤが装着されました。
また、ステアリングは、ロック・トゥ・ロックがMP4-12Cより0.4回転小さい2.2回転へとクイック化されました。販売台数は全世界限定375台で、日本にもその一部が輸入されました。販売価格は、9,661万5千円でした。