イギリスの自働車ブランドであったMGは、1939年に新型スポーツセダン「Yタイプ」のプロトタイプを発表したものの、第二次世界大戦の影響により市販化が大幅に遅れ、戦後の1947年になってようやくリリースにこぎ着けました。基本設計は1938年に発売されたモーリスブランドの「エイトシリーズE」がベースで、豪華な装備などにより商業的に成功を収めました。
フロントにウィッシュボーン式サスを採用
車体構造は独立したシャシーとオールスチール製ボディの組み合わせで、ボディタイプは当初6ライトウィンドウの4ドアセダンのみの設定でした。スタイリングは、ボディ本体から独立して設けられたヘッドランプや、独立したフロントフェンダーとそれに続くランニングボードなど、戦前型の特徴を色濃く備えたものでした。
ボディ・ディメンションは全長4,090mm×全幅1,480mm×全高1,473mm、ホイールベース2,515mmで、車両重量は1,060kgでした。駆動方式はコンベンショナルなFRで、エンジンは同ブランドのスポーツカー「TB」に搭載されていた1.3L直4OHV のSUシングルキャブレター版(最高出力46hp/最大トルク8.1kgm)が搭載されました。
トランスミッションは4速MTが組み合わせられ、最高速度114km/h・0-60mph加速27.3sの性能でした。サスペンション形式はフロントがウィッシュボーン独立懸架式、リアがリジッド・アクスル式で、ステアリング形式はラック&ピニオン式が採用されました。また、ブレーキは油圧式の4輪ドラム式で、タイヤは前後とも5.25×16が装着されました。
コンバーチブルを追加
室内はレザー製のシートやトリム、ウッド製のインパネなどが備わるラグジュアリーな仕様で、さらにステアリングにはチルト機構が備わっていました。また、全輪に油圧ジャッキが備わる点も特徴でした。そして翌1948年、折り畳み式のソフトトップが備わる2ドア・4シーター仕様のコンバーチブル「YAトゥーラー」がラインナップに加えられました。
ボディ・ディメンションは全長4,166mm×全幅1,500mm×全高1,486mm、ホイールベース2,538mmとセダンとは若干異なっており、車両重量は40kg軽い1,020kgとなっていました。また、エンジンはハイカムシャフトの採用やツインキャブレター化などによりチューンナップが図られ、最高出力が54hpまで高められていました。
また、内装もセダンとは一部異なっており、メーターパネルにはセダンには備わらないタコメーターが装備されていました。そして1950年にトゥーラーは生産終了となり、残るセダンは翌1951年にマイナーチェンジを受け「YB」に移行しました。そして1953年8月にセダンも生産終了となったのち、同年10月に後継モデル「Zタイプ」がリリースされました。