イギリスの自動車メーカーであるモーガン・モーター・カンパニーは、2000年のジュネーブ・ショーにおいて新型スポーツカー「エアロ8」を発表しました。同社製モデルの伝統となっているクラシカルなデザインとモダンなデザイン・テイストを融合させた奇抜なスタイリングが特徴で、ファンの間で物議を醸しました。
空力ボディを採用
フレームはウッドと金属によるハイブリッド構造を踏襲しつつ、金属素材にはそれまでのスチールに代わりアルミニウム合金が採用されました。ボディタイプは、当初はソフトトップが備わる2ドア・2シーター仕様のロードスターのみの設定でした。スタイリングは、独立した前後フェンダーなど従来のモーガン車の特徴を受け継ぎながらも、遥かにモダンなフォルムに変貌を遂げていました。
同時にエアロダイナミクスも追求され、モーガン車として初めて空力特性の数値が公表されました(※Cd値0.39)。ボディサイズは全長4,017mm×全幅1,516mm×全高1,315mmで、プラス4や4/4から全長が大幅に延長されていました。また、ホイールベースもそれらのモデルよりも長い2,530mmに設定されました。それに伴い車両重量も増加したものの、絶対的には依然として軽量の971kgに抑えられていました。
BMW製V8エンジンを搭載
駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは当初BMW製の4.4L V8DOHC(最高出力286ps/5,500rpm・最大トルク44.9kgm/3,600rpm)が搭載されました。トランスミッションはゲトラグ製の6速MTが組み合わせられ、最高速度257km/h・0-60mph加速4.8sという第一級の動力性能を発揮しました。また、サスペンション形式は従来のモーガン車から一新されました。
フロントはモーガン独自のスライディングピラー/コイル式からカンチレバー/コイル式に、リアは古典的なリジッド・リーフ式からダブルウィッシュボーン/コイル式に変更されました。また、格段に向上した動力性能に対応するためブレーキも強化され、フロントに330mm径、リアに306mm径のディスクローターが備わる4輪ベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。
クーペモデルを追加
ステアリング形式は、パワーアシストを持たないラック&ピニオン式でした。そして2004年に、フィクスドヘッドの2ドアクーペボディに4.6L V8DOHCエンジン(最高出力335ps)を搭載する「エアロ8GT」が発表されました。また、同じ年にエアロ8の4.4Lエンジンに改良が施され、アウトプットが最高出力338ps/6,100rpm・最大トルク45.9kgm/3,600rpmに向上しました。
次いで2015年にエンジンの排気量が4.8Lに拡大され、スペックが最高出力367ps/6,300rpm・最大トルク50kgm/3,400rpmとなりました。それにともない、パフォーマンスは最高速度274km/h・0-100km/h加速4.5sまで向上しました。同時に、新たに6速トルコン式の選択が可能となりました。