かつてイギリスに存在していたバックヤードビルダー、ACカーズは、1962年にそれまでの「エース」に代わる2シーター・スポーツカー「コブラ」をリリースしました。1トンを切る軽量ボディに大排気量エンジンを搭載し、高い動力性能を発揮しました。その後1967年に生産が打ち切られたものの、のちにアメリカのシェルビー社により「シェルビー・コブラ」として生産が再開されました。
初期モデルは4.3L V8エンジンを搭載
ボディタイプはエース同様2ドアロードスターのみの設定で、エクステリア・デザインはロングノーズ・ショートデッキのプロポーションや丸みをおびたフォルムなど、エースのイメージが継承されました。ボディサイズは全長3,848mm×全幅1,549mm×全高1,245mmで、エースから全長が26mm短縮された一方、全幅は38mm拡大されました。
ホイールベースは同一の2,286mmで、車両重量は120kgほど増加し916kgとなりました。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲、エンジンは「コブラ260」と呼ばれる初期型には、エースのフォード製2.6L直6OHVに代わり同じくフォード製の4.3L V8OHVシングルキャブレター仕様(最高出力264ps/最大トルク37.2kgm)が搭載されました。
トランスミッションは4速MTが組み合わせられ、最高速度233km/h・0-60mph加速5.5sという極めて優れたパフォーマンスを発揮しました。サスペンション形式はエース同様のトレーリングリンク4輪独立懸架式が踏襲され、ブレーキはフロントに加えリアにもディスク式が採用されました。また、タイヤはフロントに6.50×15、リアに6.70×15サイズが装着されました。
エンジンを置換、そしてMKⅡに
その後1963年に、エンジンを4.7L V8OHVシングルキャブレター仕様の「フォード・ウィンザー」(最高出力275ps/最大トルク43.1kgm)に置換した「コブラ289」に発展しました。また、同じ年にステアリングの変更などを施した「MKⅡ」が登場、従来のモデルは識別のため「MKⅠ」と呼ばれるようになりました。
MKⅢとなって性能が向上
次いで1965年には、大幅なリファインを施した「MKⅢ」がリリースされました。正式には「コブラ427」と呼ばれるこのモデルは、エンジンがフォード製の7L V8OHVツインキャブレター仕様(最高出力416ps/最大トルク66.4kgm)に置換されました。
それにともない、パフォーマンスは最高速度266km/h・0-60mph加速4.2sへと飛躍的に向上しました。さらに、サスペンション形式が4輪ダブルウィッシュボーン式に変更されるとともに、タイヤが前後とも205×15サイズのラジアルタイヤに変更されました。また、エクステリア面もブリスターフェンダーの採用やエアインテークの意匠変更などによりイメージが刷新されました。