1968年に初代モデルがデビューしたジャガーのプレミアムサルーン「XJ」は、2009年に実施されたフルモデルチェンジにより通算で8代目となり、日本では2010年3月に販売が開始されました。初代モデル以来の古典的な雰囲気を纏った先代から一転し、内外装や装備が大幅にモダナイズされた他、アルミ合金製ボディを採用するなど成り立ちが大きく変わりました。
ロングホイールベース仕様を新設定
スタイリングは、丸型4灯式ヘッドランプと4ライトウィンドウを持つクラシカルなノッチバックボディだった先代に対し、釣り上がった異形ヘッドランプと大きなフロントグリル、そして6ライトウィンドウが備わるファーストバックのプロポーションに変貌しました。遥かに近代的な雰囲気になったボディは空力特性も重視され、Cd値0.29を実現しています。
又、新たなボディバリエーションとしてロングホイールベース仕様(以下LWB)が設定され、ショートホイールベース仕様(以下SWB)との2本立てになりました。ボディサイズは、全長5,135mm(SWB)/5,260mm(LWB)×全幅1,900mm×全高1,455mmで、ホイールベースはSWBが3,030mm、LWBが3,155mmとなっています。先代との比較では、SWBがほぼ同等のディメンションになります。
まずは全車5L V8エンジンで
車両重量は1,780~1,970kgで、先代の1,630~1,780kgに対し大幅に増加しています。サスペンション形式は、フロントは先代同様のダブルウィッシュボーン式を踏襲し、リアはダブルウィッシュボーン式からマルチリンク式に変更されました。駆動方式は、XJシリーズ伝統のFRを踏襲します。発売当初日本仕様に設定されたエンジンは、5L V8NA仕様及びスーパーチャージャー仕様でした。
グレードとエンジンの振り分けは、「ラグジュアリー」「プレミアムラグジュアリー」「ポートフォリオ」に最高出力385ps/最大トルク52.5kgmのNA仕様が、「ポートフォリオLWB」に最高出力470ps/最大トルク58.6kgmのスーパーチャージャー仕様が、「スーパースポーツ」「スーパースポーツLWB」に最高出力510ps/最大トルク63.7kgmのスーパーチャージャー・ハイパフォーマンス仕様が搭載されました。
トランスミッションは、全車6速トルコン式ATが組み合わせられました。インテリア面では、12インチ液晶ディスプレイに3眼式メーターが表示されるバーチャルインストゥルメントや、8インチHDタッチスクリーン採用のインフォテインメントシステムなどから構成される「iTech」がジャガーとして初めて採用されました。更にLWBには、リアエンターテインメントシステムなどが装備されました。
パワートレインの変更で燃費が向上
そして2012年12月に一部改良を実施し、パワートレインが刷新されました。「ラグジュアリー」には最高出力240ps/最大トルク34.7kgmを発生する2L直4ターボが、「プレミアムラグジュアリー」「ポートフォリオ」には最高出力340ps/最大トルク45.9kgmを発生しアイドリングストップ機構が備わる3L V6スーパーチャージャー仕様が搭載されました。
一方、「スーパースポーツ」「スーパースポーツLWB」は搭載エンジンに変更はないものの、新たにアイドリングストップ機構が装備されました。又、トランスミッションが全車8速トルコン式ATに置き換えられた事も手伝い、燃費が約6~33%向上しました。同時に、「ポートフォリオLWB」はカタログ落ちしました。
更に2013年9月に実施された一部改良で「ラグジュアリー」にもアイドリングストップ機構が装備され、燃費が約24%改善されました。又、「プレミアム」以上のグレードにソフトドアクローズ機構が装備された他、「スーパースポーツLWB」のヘッドルームが拡大され、SWB版の「スーパースポーツ」は廃止されました。
次いで同年10月に、SWBのトップグレードとなる「XJR」が追加されました。専用の内外装や足回りが備わるボディに、5L V8スーパーチャージャー仕様エンジンを最高出力550ps/最大トルク69.3kgmまでチューンナップして搭載し、最高速度280km/h・0-100km/h加速4.6sの動力性能を発揮するホッテストモデルとなっています。