日産のプレミアム・ミニバン「エルグランド」は、2002年5月に5年ぶりにフルモデルチェンジを実施し、2代目となりました。好評だった初代からのキープコンセプトにより基本レイアウトを踏襲しつつ、様々な改良が行われました。又、販売期間中にライバルの「トヨタ・アルファード」への対抗策も取られました。
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流麗になったスタイリング
スタイリングは、セミキャブオーバー型のボディ形状を踏襲しながらも、ボディ側面のプレスラインやドアミラー部分の空力的なデザイン処理などにより、先代以上に流麗なプロポーションに変貌しました。又、後席用スライドドアを左右に備える5ドアを新設定してメインとし、4ドアは最廉価グレードのみに残されました。
ボディサイズは全長4,795mm~4,835mm×全幅1,795mm~1,800mm×全高1,910mm~1,920mmで、先代よりも全長と全幅が拡大された一方、全高は下げられました。ホイールベースは50mm延長され2,950mmとなり、車両重量も若干増加し1,980kg~2,160kgとなりました。乗車定員は、先代同様7人乗りと8人乗りの2種類が設定されました。
サスペンション形式は、フロントが先代同様のストラット式で、リアは先代の5リンク・リジッド式からマルチリンク・独立懸架式に変更されました。又、リアブレーキが先代のドラムからディスクに変更され、4輪ディスク式となりました。駆動方式は、先代同様FRとトルクスプリット式フルタイム4WDが設定されました。
エンジンはガソリンに一本化
エンジンはディーゼルが廃止され、3.5L V6ガソリンNAのVQ35DE型(最高出力240ps/6,000rpm、最大トルク36kgm/3,200rpm)に一本化されました。トランスミッションは、先代の4速から5速へと多段化されたトルコン式ATが組み合わせられました。インパネは、コンサバなイメージだった先代から一変してモダンなデザインになり、シフトレバーの位置はコラムからインパネ上に移動しました。
グレード体系は、上から「XV」「X」「ハイウェイスター」「VG」「V」の5種類で、「ハイウェイスター」には専用フロントグリルやエアロパーツ、ローダウンサスペンションなどが備わり、「XV」にはツインサンルーフや本革タイプシートが備わる事が特徴でした。又、全車にブレーキアシストやEBD(電子制御制動力配分システム)、イモビライザーが標準装備されました。
2.5L車やハイパフォーマンスモデルを追加
同年10月、オーテックジャパンが手掛ける特別仕様車「ライダー」がフルモデルチェンジによりE51型となりました。そして2004年8月に初のマイナーチェンジを実施し、内外装の変更を行った他、全車に全席アクティブヘッドレストを、「XV」には曲がる方向にヘッドランプを照射するアクティブAFSやサイドブラインドモニターなどを追加装備しました。
同時に、最廉価グレード「V」が廃止され全車5ドア仕様になった他、燃費・環境性能が改善されました。次いで同年12月、廉価な2.4L車を設定するトヨタの「アルファード」に販売面で水を開けられた事への対応策として、2.5L V6ガソリンのVQ25DE型エンジン(最高出力186ps/6,000rpm、最大トルク23.7kgm/3,200rpm)搭載車が追加されました。
2007年10月に2度目のマイナーチェンジを実施し、「ハイウェイスター」のフェイスリフトが行われた他、世界初の「アラウンドビューモニター」が設定されました。同時に、「ライダー」をベースにボディ剛性の強化やサスペンションのチューニング、エンジンのチューニング(3.5L車のみ・最高出力が250psに向上)を行った「ライダーパフォーマンススペック」が追加されました。
2代目エルグランドは、販売は好調ではあったものの、前述のように最初から廉価で経済的なグレードを設定したアルファードに対しては後塵を浴びる形となり、初代モデル程の爆発的なヒットには至りませんでした。