マツダは1991年5月に、ユーノス店よりコンパクトなスペシャリティクーペ「プレッソ」を、追って翌6月にオートザム店より姉妹車種の「AZ-3」を発売しました。両モデルの最大の特徴は、当時のマツダのデザイン力の高さが如何なく発揮されたスタイリッシュなフォルムにありました。同時に、小排気量のV6エンジン搭載車が設定された事もセリングポイントでした。
ボディはハッチゲートが備わる3ドアクーペで、スタイリングは曲線的なボディラインと3次元のリアウィンドウ、そしてボディ一体型のリアスポイラーが備わるスポーティかつ美しいものでした。プレッソとAZ-3ではエンブレムが異なる程度で、実質的に同一のデザインでした。ボディサイズは、全長4,215mm×全幅1,695mm×全高1,310mmの5ナンバーサイズでした。
発売当初は両車で異なるエンジンを搭載
又、ホイールベースは2,455mm、車両重量は1,030~1,160kgでした。サスペンション形式は4輪ストラット式が採用され、駆動方式はFFのみが設定されました。発売当初は両者でエンジンが異なり、プレッソには1.8L V6DOHCのK8型(最高出力140ps/最大トルク16kgm)が、AZ-3には1.5L直4DOHCのB5型(最高出力120ps/最大トルク13.5kgm)が搭載されました。
トランスミッションは、共に5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。発売当初のグレード体系は、プレッソが下から「Hi-X」「Fi-X」「Fi-X SV」の3タイプ、AZ-3は「Si」のモノグレードをベースに、「スペシャルパッケージ」「ABSパッケージ」「スーパーサウンドパッケージ」の各パッケージ装着車が設定されました。その後同年10月に、プレッソに新グレード「Hi-XS」が追加されました。
ユーノス プレッソのCM
M/Cで両車とも同じエンジン・ラインナップに
次いで1992年2月及び6月に、AZ-3の特別仕様車「AVスペシャル」と「SR-リミテッド」が相次いで発売されました。続いて1993年9月に両モデル共に仕様変更が行われ、プレッソに1.5L車が、AZ-3に1.8L車が追加され、両モデルは同じエンジン・ラインナップとなりました。同時に1.8Lエンジンがハイオク仕様となり、アウトプットが最高出力145ps/最大トルク16.2kgmに向上しました。
又、グレード体系も見直され、プレッソが1.5Lの「Si 標準車」「Si」「スポーツ」、1.8Lの「GT」「GT-A」「GT-X」の6タイプ、AZ-3が1.5Lの「Si」「Si-A」「Si-X」、1.8Lの「GT-A」「GT-X」の5タイプとなりました。次いで1994年5月に、「Si」をベースに装備を充実させた特別仕様車として、プレッソに「Si スペシャルエディション」が、AZ-3に「Si セレクション」が設定されました。
更に1994年5月には、前記特別仕様車に更にDSP機能付きオーディオシステムを追加装備した特別仕様車「DSPパッケージ」が、両モデルに設定されました。次いで1996年4月に仕様変更が行われ、両モデルに運転席SRSエアバッグシステムが標準装備されました。同時にグレード体系が整理され、プレッソが「Si スペシャルエディション」「スポーツ」「GT-A」、AZ-3が「Si セレクション」「Si-X」「GT-A」のそれぞれ3タイプとなりました。
そして1998年6月に、両モデル共に生産終了となりました。直接的な後継モデルは発売されず、共に1代限りのモデルとなりました。