BMWは2004年12月、前年にリリースされた高級スペシャリティカー「6シリーズ」をベースとしたハイパフォーマンス版、E63型「M6」を発表しました。先代にあたるE24型M6が1989年に生産終了となって以来15年ぶりの車名復活で、一足先にデビューした4代目「M5」譲りのパワートレインを搭載、軽量設計によりそれをしのぐパフォーマンスを実現しました。
まずはクーペから
ボディタイプは当初、フィクスドヘッドの2+2シーター仕様2ドアクーペのみの設定で、エクステリア面ではカーボンルーフが採用されたほか、4本出しマフラーやディフューザーなどにより差別化が図られました。一方、派手なエアロパーツなどは装着されず、6シリーズ譲りのエレガントなフォルムが踏襲されました。空力特性の指標となるCd値は、0.32を実現していました。
ボディ・ディメンションは全長4,871mm×全幅1,855mm×全高1,377mm、ホイールベース2,781mmで、6シリーズから全長が若干延長されていました。また、車両重量は1,710kgで、同じパワートレインを搭載するM5よりも120kgも軽く抑えられていました。サスペンション形式は、6シリーズ同様のフロント:ストラット式/リア:インテグラルアーム式が踏襲されました。
5L V10エンジンを搭載
駆動方式はFRで、エンジンは5L V10DOHC40バルブNAが搭載されました。スペックはM5と共通の最高出力507ps/7,750rpm・最大トルク53kgm/6,100rpmで、組み合わせられるトランスミッションも同様に「SMG」と呼ばれる7速AMTが採用されました。そのパフォーマンスは、最高速度はリミッターの介入によりM5と同一の250km/hに留まるものの、0-100km/h加速タイムはそれよりも0.1s短い4.6sでした。
ブレーキは、M5同様フロントに374mm、リアに370mmのディスクローターが備わる4輪ベンチレーテッド・ディスク式が装備され、タイヤもそれと同様にフロント:255/40ZR19/リア:285/35ZR19が装着されました。また、走行性能向上に係る機構として、M5にも装備されるCBC(コーナーリング・ブレーキ・コントロール)やEBV(エレクトロニック・ブレーキ・フォース・ディストリビューション)などが採用されました。
快適・豪華装備も充実しており、レザーシートや運転席パワーシート、ウッドパネル、クルーズコントロールなどが標準で備わりました。その後2006年に、電動ソフトトップが備わるオープンモデル「M6カブリオレ」が追加されました。そして2010年、6シリーズのフルモデルチェンジにともない生産を終了、翌2011年に新型6シリーズをベースとしたF12M/13M型M6がリリースされました。
E63型M6の日本市場初上陸は2005年9月で、右ハンドルと左ハンドルを選択することが可能でした。その後翌2006年9月に、カブリオレが追加されました。