シトロエンは1996年、1986年のデビュー以来すでに10年が経過していた「AX」に代わるエントリーモデルとして、「サクソ」を発売しました。AXが「プジョー・205」のプラットフォームをベースにホイールベースを短縮し、全く別物のボディを架装したのに対し、サクソでは「プジョー・106」のプラットフォームやボディシェルをそのまま流用する手法が取られました。
ボディサイズをAXから一回り拡大
ボディバリエーションは、AXと同様3ドアと5ドアのハッチバックが用意され、スタイリングは直線基調のAXに対し丸みを帯びたフォルムへと大きく変化しました。又、前述の通りプジョー・106とは基本的に共通のプロポーションを持つものの、フロント廻りとリア廻りのデザインや、サイドウィンドウのグラフィックが異なっていました。
ボディサイズは全長3,720~3,735mm×全幅1,595~1,620mm×全高1,360~1,380mmで、プジョー・106に近いディメンションとなり、AXと比較すると一回り拡大されていました。ホイールベースはプジョー・106と同一の2,385mmで、AXからは100mm程延長されました。車両重量は日本仕様で940~970kgとなり、同じく日本仕様のAXよりも100kg以上重くなりました。
サスペンション形式もプジョー・106と共通で、フロントはAXとも同一となるマクファーソンストラット/コイル式、リアはトレーリングアーム式である点はAXと同一ながら、スプリングがトーションバーからコイルとなった事が相違点でした。ブレーキは、標準的なグレードがフロント:ディスク式/リア:ドラム式、高性能グレードがフロント:ベンチレーテッドディスク式/リア:ディスク式でした。
駆動方式はFFを踏襲し、本国仕様のエンジンは1.1L、1.4L、1.6L及び1.6L16バルブのガソリンユニットと、1.5Lのディーゼルユニットが用意されました。一方インテリアは、プジョー・106とは全く異なるデザインのインパネやシートが採用されました。又、安全装備として4W-ABSやSRSデュアルエアバッグシステム、プリテンショナー付きシートベルトが標準装備されました。
日本には1.6L車のみ導入
そして1997年と2000年の2度のマイナーチェンジを経た後、2003年に後継モデル「C3」にバトンを渡し生産終了となりました。日本では1997年2月に、商標の関係で車名が「シャンソン」に変更された上で販売が開始されました。導入されたグレードは3ドアの「SX」と5ドアの「V-SX」で、パワートレインは共に1.6L直4SOHCエンジン(最高出力90ps/最大トルク14kgm)と3速トルコン式ATの組み合わせでした。
そして、1999年4月からは車名が本国と同一のサクソに変更されると同時に、導入されるグレードが1.6L 直4DOHCエンジン(最高出120ps/最大トルク14.7kgm)+5速MT搭載の3ドアモデル「VTS」に切り替えられました。又、装備面ではアルミホイールやパワーウィンドウなどが追加されました。そして2003年4月に60台限定で発売された「スーパー1600」が、日本におけるラストモデルとなりました。