かつて存在していた自動車メーカー、アメリカン・モーターズは、1986年2月に開催されたシカゴ・オートショーにおいてジープ・ブランドの新型クロスカントリー型SUV「ラングラー」を発表しました。軍用車両の「ウイリス・ジープ」から発展した「ジープ・CJ7」の後継モデルで、独立したフレームを持つボディ構造や4輪リジッド・リーフ式の足回りなどが踏襲されました。
CJ7のイメージを踏襲
ボディタイプはハーフフレームの2ドアが備わるソフトトップ仕様が標準で、オプションでフルフレームドアが用意されました。エクステリア・デザインは、張り出した前後のフェンダーや7スリットのフロントグリルなど、CJ7のイメージが踏襲されました。ボディサイズは全長3,879mm×全幅1,676~1,740mm×全高1,735mmで、CJ7から全長が拡大されました。
一方、ホイールベースは同一の2,370mmでした。駆動方式は「コマンドトラック」と呼ばれるフルタイム4WDで、パワートレインは当初4.2L直6OHVシングルキャブレター仕様エンジン(最高出力112ps/最大トルク28.9kgm)+3速トルコン式ATのみの設定でした。ブレーキはCJ7の4輪ドラム式に対し、フロントがベンチレーテッド・ディスク式にアップグレードされました。
直4エンジンを追加
また、タイヤはP215/75R15サイズが装着されました。グレードは、ベースグレードのほかに「スポーツ」「サハラ」「ラレード」などがラインナップされました。その後1987年に、新たなパワートレインとして2.5L直4OHVエンジン(最高出力121ps/最大トルク19.4kgm)+5速MTが追加されました。また、5速MTは従来の4.2Lエンジンでも選択できるようになりました。
次いで1988年に、専用の内外装やアルミホイールなどが備わるオプションパッケージ「アイランダー」が設定されました。続いて1990年には、4.2L直6に代わり4L直6OHVエンジン(最高出力180ps/最大トルク29.6kgm)が設定されました。また、同年にこの4Lエンジンを搭載し、専用の足回りやインテリア、パワーステアリングなどが装備されるオプションパッケージ「レネゲード」が設定されました。
そして1995年12月をもって生産を終了、翌1996年1月に2代目TJ型がリリースされました。YJ型ラングラーは、日本市場でも正規輸入販売が行われました。パワートレインは4.2L直6エンジンと5速MTまたは3速ATの組み合わせで、グレードはベースグレードと「カスタム」「サハラ」「ラレード」の4タイプが用意されました。
装備面では、カスタム以上にマニュアルエアコンが、サハラ以上に本革巻きステアリングホイールやチルトステアリングが、ラレードにアルミホイールが採用されました。