ランボルギーニは2001年のフランクフルトモーターショーにおいて、11年間に渡り生産を続けてきたフラッグシップスーパーカー「ディアブロ」に代わるモデルとして、「ムルシエラゴ」を発表しました。エンジンの排気量が拡大され動力性能が一段と向上すると共に、全車フルタイム4WD方式となった事が特徴でした。日本では同年12月に発売されました。
車体はディアブロと同様マルチチューブラフレーム構造で、軽量化の為ボディパネルやシャシーの一部にカーボンファイバーが採用されました。足回りは、4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションと電子制御式ダンパーが踏襲されました。スタイリングはディアブロのイメージを受け継ぐウェッジシェイプのフォルムを持ち、跳ね上げ式のドアも継承されました。
4WDの動力配分方式を変更
又、新たにライズアップ式のリアスポイラーが装備されました。初期型のボディサイズは全長4,580mm×全幅2,045mm×全高1,135mmで、ディアブロから若干拡大され、ホイールベースは15mm延長され2,665mmとなりました。車両重量は、ディアブロの最終モデル「6.0」よりも僅かに重い1,650kgでした。エンジンは従来同様ミッドにマウントされ、駆動方式は前述のようにフルタイム4WDのみとなりました。
4WDの方式はディアブロ同様のビスカスカップリング式ながら、前輪が滑った時のみ動力を振り分けるオンデマンドタイプだったディアブロと異なり、通常30:70の割合で前後輪に動力を配分し、状況に応じ駆動力配分を可変させる方式に変更されました。エンジンは、ディアブロ6.0用の6L V12DOHCユニットをベースに、排気量を拡大すると共に改良を施したものが搭載されました。
オープンモデルやハイパフォーマンス版を追加
発売当初の排気量は6.2Lで、最高出力580hp/7,500rpm・最大トルク66.3kgm/5,400rpmのスペックでした。トランスミッションは、発売時は新開発された6速MTのみの設定だったものの、2004年にマニエッティ・マレリ社と共同開発したシングルクラッチ式6速セミAT「e-gear」が追加されました。更に同じ2004年に、ソフトトップコンバーチブルの「ロードスター」が追加されました。
次いで2006年3月に、エンジンの排気量を6.5Lまで拡大し、アウトプットを最高出力640hp/8,000rpm・最大トルク67.3kgm/6,000rpmに向上させた「LP640」に切り替えられました。エクステリアも若干変更され全長が30mm、全幅が13mm拡大された他、車両重量が僅かに増加し1,665kgとなりました。装備面では、6.5インチワイドモニター採用のケンウッド製オーディオシステムが採用されました。
そして2009年3月に、専用の内外装を備えると共に車両重量を1,565kgまで軽量化し、エンジンのスペックを最高出力670hp/8,000rpm・最大トルク67.3kgm/6,500rpmとした350台限定販売モデル「LP670-4スーパーヴェローチェ」が発表されました。ムルシエラゴは翌2010年に生産終了となり、2011年に後継モデル「アヴェンタドール」にバトンが渡されました。