フィアットは1993年、2ドア・2+2シーター仕様のクーペ「クーペ・フィアット」をリリースしました。Cセグメント・ハッチバック車「ティーポ」と共通のプラットフォームに、社内チームの手による個性的なデザインのボディを架装したモデルで、生産とインテリア・デザインはカロッツェリア・ピニンファリーナの手により行われました。
ターボモデルもラインナップ
エクステリア・デザインは、低くスラントしたノーズやサイドの2本のキャラクターライン、斜めに配置された丸型4灯式テールランプの採用など奇抜なものであると同時に、Cd値0.33を実現するなど空力特性にも十分な配慮が行われていました。ボディサイズは全長4,250mm×全幅1,765mm×全高1,355mmで、ティーポに対し長く広く低いディメンションでした。
ホイールベースはティーポと共通の2,540mmで、車両重量は1,250~1,320kgでした。エンジンは当初、2L直4DOHC16V のNA仕様(最高出力139ps/最大トルク18.4kgm)とターボ仕様(最高出力196ps/最大トルク29.6kgm)が用意され、グレード名はそれぞれ「2.0 16V」、「2.0 16Vターボ」と名付けられました。トランスミッションは共に5速MTが組み合わせられ、最高速度は前者が208km/h、後者が225km/hでした。
サスペンション形式は、ティーポ同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式が踏襲され、ブレーキはフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。又、ターボモデルのデファレンシャルにはビスカス・カップリング式LSDが装着されました。安全装備面では、SRSデュアルエアバッグシステムとABSが採用されました。
M/Cで更に高性能に
そして1996年のマイナーチェジで外装の小変更と共にラインナップが一新され、1.8L直4DOHC16V NAエンジン(最高出力139ps/最大トルク18.4kgm)搭載の「1.8 16V」、2L直5DOHC20V NAエンジン(最高出力147ps/最大トルク19kgm)搭載の「2.0 20V」、同ターボエンジン(最高出力220ps/最大トルク31.6kgm)搭載の「2.0 20Vターボ」のグレード体系となりました。
5速MTを介しての最高速度は、それぞれ205km/h、212km/h、240km/hでした。次いで1998年には、2L NAエンジンの最高出力が154psにアップされると共にグレード名が「2.0 20V V.L.S」に変更された他、2.0 20VターボのMTが6速化されました。この改良に伴い、最高速度は前者が217km/h、後者が250km/hに向上しました。そして2000年、後継モデルのリリースもないまま生産終了となりました。
日本市場においては、まず1995年1月に2L直4ターボモデル(グレード名なし)が上陸を果たし、1997年4月に2L直5ターボモデル(グレード名なし)に切り替えられました。次いで1999年3月に6速MTと専用の内外装が備わる特別仕様車「リミテッドエディション」が設定され、追って同年11月にその内外装を見直し価格を下げたカタログモデル「ターボプラス」が追加されました。