フィアットは1995年、1988年にリリースした「ティーポ」に代わるCセグメント・ハッチバック車「ブラーヴォ」及び「ブラーヴァ」を発売しました。前者がスポーティな性格を持つ3ドア、後者がユーティリティを重視した5ドアで、共にボディ構造の改革によりそれまでとは全く異なる斬新なスタイリングを実現していました。
ティーポからボディを拡大
そのスタイリングは、共に天地の狭いフロントマスクとスラントしたボンネットフード、それに続く傾斜の強いAピラーを持ち、更にブラーヴァはCピラーにも強い傾斜が与えられると共に、ブラーヴォと異なる意匠のリアコンビネーションランプが採用されました。ボディサイズはブラーヴォが全長4,020mm×全幅1,750mm×全高1,420mmで、ブラーヴァはそれより全長が170mm長く設定されました。
共にティーポから全高を除き一回り拡大された一方で、ブラーヴォ/ブラーヴァ共通となる2,540mmのホイールベースは僅かに短縮されていました。サスペンション形式は、ティーポ同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式が踏襲され、駆動方式も引き続きFFが採用されました。
ブラーヴォには高性能モデルも用意
エンジンは当初、1.4L直4SOHC(最高出力80ps/最大トルク11.4kgm)、1.6L直4DOHC(最高出力103ps/最大トルク14.7kgm)、1.8L直4DOHC(最高出力113ps/最大トルク15.7kgm)、2L直5DOHC(最高出力147ps/最大トルク19kgm)のガソリン4種類と、1.9L直4SOHC (最高出力65ps/最大トルク12.1kgm)のディーゼルが用意されました。
トランスミッションは何れも5速MTが標準で、一部モデルに4速トルコン式ATが設定されました。グレード体系は、ガソリン車は1.4Lが1.4S/SX、1.6Lが100SX/HSX/ELX、1.8Lが115ELX/HLX/GT、2Lが2.0HGTで、ディーゼル車は1.9D SXのみのモノグレード設定でした。これらの内、最も高性能な2.0HGTはブラーヴォのみの設定で、最高速度210km/hの性能を備えていました。
その後1999年になると、HGTに代わり2Lエンジンの最高出力を155psに高めた「155HLX」が設定されました。又、同じ年に1.9Lディーゼルターボエンジン搭載車が追加されました。NA版とは排気量が僅かに異なるこのエンジンは、最高出力75ps/最大トルク15kgmと最高出力100ps/最大トルク20.4kgmの2種類の仕様が用意され、グレードは前者にTD75SXが、後者がTD100SX/ESXが設定されました。
更に同年、ガソリン車のエントリーモデル1.4S/SXが廃止され、代わって1.2L直4DOHCエンジン (最高出力82ps/最大トルク11.5kgm)を搭載する80SX/HSXが設定されました。そして2001年、後継モデル「スティーロ」のデビューに伴い生産終了となりました。日本市場においては1998年2月から1999年11月に掛け、ブラーヴォ1.6LのAT仕様が「ブラビッシモ」の名で販売されました。