フォードモーターは2004年、フォード創立100周年記念モデルとして、1964~1969年にかけて製造されたレーシングモデル「フォード・GT40」のリメイク版となる「フォード・GT」をリリースしました。GT40を彷彿とさせるスタイリングを採用しながら、40年近い歳月の流れに相応しい性能向上が図られました。
軽量設計を採用
フレームはスーパープラスチック製で、ボディの素材にはアルミニウムが採用されました。また、ドアパネルは一体成型で、エンジンカバーのインナーパネルにはカーボンファイバー素材が採用されるなど、随所に軽量設計が行われていました。ボディタイプは、標準仕様はGT40同様の2ドア・フィクスドヘッド・クーペでした。
その他に、アフターマーケットからガルウイング・ドア仕様の「GTB」や、フルオープン/Tバールーフ仕様の「GTX」がリリースされました。スタイリングは、GT40のイメージを踏襲しながらもディテールはモダナイズされました。ボディサイズは全長4,645mm×全幅1,955mm×全高1,125mmで、GT40に対しては全長が352mm、全幅が177mm拡大された一方、全高は109mm高められていました。
5.4L V8スーパーチャージドエンジンを搭載
ホイールベースは2,710mmで、GT40より280mm長く設定されました。また、2004年モデルの車両重量は1,450kgで、1967年型GT40の910kgからは大幅に増加していました。サスペンション形式は4輪ダブルウィッシュボーン式で、駆動方式はMRが踏襲されました。エンジンは、5.4L V8DOHC32Vスーパーチャージド・マルチポイントインフェクション仕様が縦置きに搭載されました。
2004年モデルのアウトプットは最高出力507ps/6,000rpm・最大トルク69.2kgm/4,500rpmで、1967年型GT40に搭載された4.7L V8DOHC NAウェーバー4連キャブレター仕様エンジンと比較すると、最高出力は122psの向上を果たしていました。トランスミッションは6速MTが組み合わせられ、最高速度322km/h・0-100km/h加速3.8sのパフォーマンスを発揮しました。
1967年型GT40との比較では、最高速度が65km/h向上していました。ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式で、タイヤはフロントに235/45ZR18が、リアに315/40ZR19が装着されました。また、ステアリングホイールの位置は、GT40が右ハンドル仕様であったのに対し、左ハンドル仕様となっていました。
そして2005年モデルでアウトプット向上が図られ、最高出力が557ps/6,500rpm、最大トルクが69.2kgm/3,750rpmとなりました。車両重量は1,610kgまで増加したものの、最高速度は330km/hに向上し、0-100km/h加速は3.6sに短縮されました。その他、チューンドモデルとして、最高出力を710psまで高めた「GT700」も制作されました。
製造はアメリカのミシガン州の工場で行われ、2006年までに1,500台が生産されました。