マツダ 新型ロードスター の特徴
世界で一番売れているスポーツカーである「マツダ・ロードスター」は、2015年5月に10年ぶりとなるフルモデルチェンジを実施し、4代目となりました。正式発表に先駆け、徐々に情報を公開してファンの期待を高める手法が取られ、実車は2014年9月に世界3都市のイベントで同時初公開が行われました。
魂を込めたダウンサイジング
4代目ロードスターの最大の特徴は、モデルチェンジの度に肥大化・重量増を招いてきた反省を踏まえ、大胆なダウンサイジングを実施し、ライトウエイトスポーツカーの原点に回帰した事にあります。又、ロードスターの歴史の中で初めて環境性能の改善や運転支援システムの採用が行われ、時代に即したモデルチェンジ内容となっています。
スタイリングは、最近のマツダ車に共通するアグレッシブなもので、歴代モデルの中でも際立って精悍なイメージでまとめられています。ロングノーズ・ショートデッキのプロポーションが一段と強調されると共に、トップが先代の電動開閉式ハードトップから手動式ソフトトップに変更されるなど、ディテールはモダンになりながらも古典的なライトウイエトスポーツらしい雰囲気が色濃くなっています。
ボディサイズは、全長3,915mm×全幅1,735mm×全高1,235mmで、全長が先代よりも100mm以上短縮された一方で全幅は僅かにワイドになり、縦横の比率がよりスクエアに近くなっています。又、プラットフォームも刷新され、ホイールベースが20mm短縮されて2,310mmとなった他トレッドは僅かに拡大され、運動性に有利なディメンションとなっています。
軽量ボディと小排気量エンジンの組み合わせ
ボディは剛性を確保しつつ大幅な軽量化が図られ、車両重量は先代よりも最大で100kg以上軽い990kg~1,060kgとなっています。サスペンション形式は、先代の前ダブルウィッシュボーン式/後マルチリンク式を踏襲しています。パワートレインは一新され、国内仕様のエンジンは「SKYACTIV-G」と称する1.5L直4のP5型で、最高出力と最大トルクは131ps/15.3kgmとなっています。
トランスミッションは、「SKYACTIV-MT」と称する6速MTと6速ATが用意されます。前者は、シフトフィールの追求と6速が直結となるクロスレシオ化が行われ、後者はロックアップ領域の拡大によるダイレクト感の向上とブリッピング機能の追加が行われてます。駆動方式は従来からのFR方式を踏襲しつつ、エンジンをフロントミッドシップマウントとする事で、前後重量配分50:50を実現しています。
燃費を改善し安全装備が充実、乗り味も良好
ロードスター史上初となるアイドリングストップ機能とエネルギー回生機能が取り入れられ、ATモデルに標準装備、MTモデルにはグレードによりオプション装着可能となっています。エンジンのダウンサイジング、ボディの軽量化との相乗効果により、燃費は先代の11.2km/L~12.6km/Lに対し17.2km/L~18.6km/Lとなり、5割前後も改善されています。
装備面では、スマホとの連携により多彩な機能を実現するカーコネクティングシステム「マツダコネクト」の採用や、ブラインドスポットモニタリングシステムや車線逸脱警報システムなどが備わる運転支援システム「i-ACTIVSENCE」装着グレードを用意するなど、現代の車に相応しい先進装備が備わっています。
新形ロードスターの乗り味は、初代モデルを彷彿とさせる機敏さと安全性を兼ね備えた操縦安定性を持ち、かつ快適な乗り心地を両立させた高水準なものとなっています。動力性能の面でも、ダウンサイジングによるパワーダウンを車体の軽さと効率の良いトランスミッションで補い、スポーツカーとして必要十分な加速性能が備わっています。
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マツダ ロードスターの歴史
ユーノス ロードスター (初代 NA ’89-’98):ライトウエイトスポーツ復権の立役者
先般発売開始となった現行モデルで4代目となる「マツダ・ロードスター」は、1989年に初代モデルが「ユーノス・ロードスター」(海外ではマツダMX-5)の車名でデビューしました。当時、スポーツカーは大排気量・高性能指向に走っていた事や、アメリカでオープンカーに対する保安基準が厳しくなった事などから、オープンボディのライトウエイトスポーツカーは、ほぼ死滅状態となっていました。
その為、パワーよりも軽快な操縦性を望むライトウエイトスポーツカーのファンは、生産終了からかなり年数が経過していた初代「ロータス・エラン」や「MGミジェット」などの中古車を探すか、新車に拘るならガレージメーカーである英国リライアント社の「シミター」を選ぶなど、限られた選択肢しかない状況でした。
久しぶりのライトウエイトスポーツカーとして登場
そのような状況下において、マツダはライトウエイトスポーツカーの復活を画策し、商品化に漕ぎ着けました。時は丁度バブルの最中であった為、マツダの業績も良く企業体力に余裕があった事や、趣味性の高い車種に対する世間の受容度が高くなっていた事も、ロードスターが世に出る事が出来た要因と言えました。
初代ロードスターは、1960年代のヨーロッパ製ライトウエイトスポーツカーよりは大きく重くなっていたものの、日本の5ナンバー枠に収まるボディサイズと、1トンを切る車両重量は、十分にライトウエイトスポーツを名乗るに値するものでした。
エンジンは、コストダウンの観点からファミリーカー用の1.6Lユニットをチューンナップしたものを搭載。トランスミッションをルーチェから、灰皿はボンゴからなど、コストアップを極力抑えました。しかし走りの部分はこだわり、量産FF車をベースとするのではなくFR方式を採用。こうした手法も、ライトウエイトスポーツカーの法則に則ったものでした。
世界的に大ヒットし、海外メーカーにも影響
ロードスターは、暫くぶりに発売された量販ライトウエイトスポーツカーであった事や、価格が手頃であった事などから、市場からはマツダが予想していた以上の大きな反響があり、国内外で大ヒットしました。それだけ、世界中の人々が手軽なライトウエイトスポーツカーに飢えていた事が、改めて証明される結果となりました。
このロードスターの成功に刺激を受けて、メルセデス・ベンツ、BMW、MGといったヨーロッパの名門メーカーが次々とオープンボディのライトウエイトスポーツカーをリリースするなど、世界の自動車業界に与えた影響は非常に大きなものがありました。その後、マイナーチェンジにより排気量を1.8Lに拡大するなどの変更を受けました。
マツダ ロードスター (2代目 NB ’98-’05):キープコンセプト。リトラを廃止
1998年にフルモデルチェンジを実施し、2代目となりました。この代から、「マツダ・ロードスター」の車名となりました。ボディサイズは初代モデルと大差なかった一方、車両重量がやや重くなったものの、依然としてライトウエイトスポーツを名乗るに相応しいモデルでした。初代ロードスターのアイコンだったリトラクタブル・ヘッドライトは廃止され、丸い異形ヘッドライトになった事が外観デザインの大きな変更点です。
又、ボディ剛性の向上やエンジンのパワーアップなど、次世代モデルに相応しいリファインが施されていました。その後、クローズドボディを持つ「ロードスタークーペ」や、ターボチャージャーを装備した「ロードスターターボ」などの派生モデルが登場し、バリエーションが拡大しました。
マツダ ロードスター (3代目 NC ’05-’15):3ナンバーサイズに拡大。排気量は2Lに。RHTの採用などグレードアップ
2005年に二度目のフルモデルチェンジが実施されて3代目となり、プラットフォームが刷新されると共に、ボディが拡大され日本においては3ナンバー登録となりました。エンジンも一新され、排気量が2Lとなりました。又、従来の手動ソフトトップに加え、RHT(電動リトラクタブルハードトップ)仕様が追加された点が、3代目の最大のエポックでした。一方、クーペやターボモデルは廃止され、シンプルなバリエーション体系になりました。