「ユーノス・ロードスター」は、世界中で絶えて久しかった量販ライトウエイトスポーツカー久々のニューカマーとして、1989年にデビューしました。まず、同年5月にアメリカで先行発売され、9月には国内でも発売が開始されました。当時、マツダは多チャンネル販売体制を敷いており、ユーノス系列店で販売された為、この冠名となりました。一方、海外では「マツダMX-5」の車名で販売されました。
車体は手動式ソフトトップを備えたオープン2シーターボディで、曲線的なボディラインとリトラクタブルヘッドランプ採用による低いノーズを持っていました。スタイリングの全体的なイメージは、初代「ロータス・エラン」を一回り大きくしたような、何処かノスタルジックな雰囲気を醸していました。
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十分に小型軽量なボディに、汎用型のエンジンを搭載
ボディサイズは全長3,970mm×全幅1,675mm×全高1,235mm、車両重量は940kg~960kgで、1960年代のライトウエイトスポーツカーよりは大きく重くなっていました。しかし、発売当時の水準からすれば十分に小型軽量な車体であり、ライトウエイトスポーツを名乗るに相応しいものでした。
エンジンは、当時マツダが得意としていたロータリーエンジンではなく、「ファミリア」に搭載されていた1.6L直4DOHCのB6型でした。これは、コストダウン対策や車の性格からして妥当な選択であり、かつての欧州製ライトウエイトスポーツカーも、格別高性能とは言えない汎用エンジンを搭載する事が一般的でした。
しかし、スポーツカーに相応しい性格を与える為のチューニングが施されており、オリジナルを超える最高出力120ps/最大トルク14kgmのパワーを発生し、軽量ボディには必要十分な性能が確保されていました。トランスミッションは、発売当初はショートストロークに拘った5速MTのみが用意され、1990年3月に4速トルコン仕様が追加されました。
駆動方式はコンベンショナルなFR方式で、これも往年のライトウエイトスポーツカーの恒例に則ったものでした。軽快な操縦性に拘り、フロントミッドシップ方式を採用した事で、前後重量配分50:50の理想的な数値を実現していました。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式で、ブレーキは4輪ディスクブレーキが採用されました。
マイナーチェンジで1.8Lに拡大、世界的ベストセラーに
1993年7月にマイナーチェンジが実施され、ユーザーから寄せられたモアパワーの要求に応える為にエンジンが1.8LのBP型となり、最高出力と最大トルクは、それぞれ130ps/16kgmに向上しました。反面、車両重量は40kg程重くなり、ライトウエイトスポーツの原点からはやや離れる結果となりました。
1995年8月に二度目のマイナーチェンジが実施され、エンジンのファインチューニングやファイナルレシオの変更などが行われ、ドラバビリティーの改善が図られました。初代ユーノスロードスターは、コンセプトや低価格が評価され、国内外でスポーツカーとしては異例のヒットとなり、ライトウエイトスポーツカー復権の立役者となりました。