日産のスポーツカー「フェアレディZ」は、1989年7月に6年ぶり3度目となるフルモデルチェンジを実施し、4代目となりました。エクステリアデザインのポリシーが伝統のロングノーズ・ショートデッキからワイド&ローへと変わり、プロポーションが大きく変化すると共に、走行性能が一段と向上した事が特徴でした。
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内外装を大幅にイメージチェンジ
スタリングは、ノーズを低く設計すると共に、先代のリトラクタブルヘッドランプからプロジェクター式固定ヘッドランプに変更した事などにより、イメージが一新されました。2シーター仕様と4シーター仕様の「2by2」でそれぞれ異なるボディが与えられる点や、Tバールーフ仕様が設定される点は踏襲されました。
ボディサイズは、全長4,310mm(2シーター)/4,525mm(2by2)×全幅1,790mm~1,800mm×全高1,245mm~1,255mmで、歴代モデルの中で最も全幅が広く全高が低いディメンションとなりました。ホイールベースは先代よりも延長され、2シーターが2,450mm、2by2が2,570mmとなりました。車両重量は先代より大幅に増加し、1,430kg~1,570kgとなりました。
インテリア面では、インパネのデザインが先代の直線的でシャープなイメージから一転し、曲線を基調としたものに変わりました。又、コンソールボックス上の丸型多連メーターは廃止され、ステアリング正面のナセル内に設けられた4連メーターのみとなるなど、シンプルなイメージに変化しました。
フェアレディZ(Z32)のCM
エンジンを大幅にパワーアップ
サスペンションは一新され4輪マルチリンク式となり、ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスク式になりました。エンジンは3Lに一本化され、先代から受け継いだV6 DOHC NAのVG30DE型(最高出力230ps/6,400rpm、最大トルク27.8kgm/4,800rpm)と、同ツインターボのVG30DETT型(最高出力280ps/6,400rpm、最大トルク39.6kgm/3,600rpm)の2種類となりました。
共に先代から大幅なパワーアップを果たし、特にターボ車の最高出力は当時国産車トップの数値でした。トランスミッションは、先代同様5速MTと4速トルコン式ATが設定され、駆動方式は伝統のFRが踏襲されました。又、ターボ車には電子制御式4輪操舵システム「Super HICAS」が装備され、ハンドリングの向上が図られました。
コンバーチブルや新グレードを追加
1992年8月、歴代フェアレディZ初となるフルオープンモデル(但しルーフバーあり)の「コンバーチブル」が追加されました。2シーター仕様のみの設定で、屋根は手動開閉式のソフトトップが採用され、エンジンはNAのVG30DE型が搭載されました。ボディ補強に伴い、車両重量はクーペよりも90kg重くなりました。
次いで1993年10月に一部改良を実施し、ターボ車の4輪操舵システムが「電動Super HICAS」に変更されると共に、リアスポイラーがより大きいダウンフォース効果が得られるテールウイングに変更されました。翌1994年10月の一部改良においては、運転席SRSエアバッグシステムとビスカス式LSDが全車に標準装備されました。
又、各ボディに軽量化を図った新グレード「バージョンS」が設定された他、2シーターがMT仕様のみに、コンバーチブルがAT仕様のみになりました。次いで1997年1月の一部改良の際には、ABSを備える新グレード「バージョンR」が設定されると共に、ターボ車にもABSが標準装備されました。翌1998年10月にマイナーチェンジを実施し、外装の変更やボディ剛性の強化などが行われました。
4代目フェアレディZは、先代から更にパフォーマンス向上を果たしたものの、バブル崩壊に伴うスポーツカー市場の縮小により、国内販売は低迷しました。しかし、当時の日産の経営状態の問題から、2000年9月までの11年間に渡りフルモデルチェンジを行う事なく生産が継続され、結果として歴代フェアレディZとしてトップとなるロングスパンモデルとなりました。
先代モデル:3代目フェアレディZ
後継モデル:5代目フェアレディZ
歴代フェアレディZ