フェラーリは2008年のパリ・サロンで、同社初の2+2クーペカブリオレであると同時に、初のV8エンジン搭載FRモデルともなるニューモデル「カリフォルニア」を発表しました。カリフォルニアという車名は、1957年にリリースされた名車「250GTカリフォルニア・スパイダー」に由来するものとなっています。日本では翌2009年6月に販売が開始されました。
オールアルミ製ボディを採用
ボディのデザインは従来のフェラーリ車同様ピニンファリーナの手により行われ、抑揚あるフォルムとロングノーズ・ショートデッキのプロポーションと共に、Cd値0.32の優れた空力特性が備わっていました。プラットフォームやボディパネル、リトラクタブルハードトップの素材はアルミ製で、2+2仕様の他に2シーター仕様の選択も可能となっています。
ボディスペックは全長4,563mm×全幅1,902mm×全高1,308mm、ホイールベース2,670mm、車両重量1,630kgというものでした。フロントに搭載されるV8エンジンは、最高出力454HP/7,750rpm・最大トルク49.5kgm/5,000rpmのアウトプットを発生する新開発の直噴式で、トランスミッションは7速DCTが組み合わせられます。又、トランスアクスルレイアウトの採用により、前後重量配分はFR車の理想に近い47:53となっています。
動力性能は最高速度310km/h・0-100km/h加速4sというフェラーリの名に恥じないもので、同時にアイドリングストップ機構の設定など環境性能にも配慮が行われている点も特徴となっています。サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式で、ブレーキはカーボンセラミック・ローターを備えるブレンボ製が採用されています。
M/Cでパワーアップと重量軽減を実現
そして2010年11月に日本向けの特別仕様車として、カーボンパーツを内外にあしらった「リミテッドエディション」が10台限定で発売されました。次いで2012年3月のジュネーブ・ショーで、エンジンのアウトプットを最高出力483HP/最大トルク51.5kgmまで向上させると共に、車両重量を30kg軽量化したマイナーチェンジ版「カリフォルニア30」が発表されました。
パフォーマンスは従来から最高速度が1km/h向上し、0-100km/h加速が0.15s短縮されました。同時にオプションパッケージとして、電子制御磁性流体ダンパー「マグネティック・ライド」を装備し、ステアリング・レシオを約10%クイック化してハンドリングを改善した「ハンドリング・スペチアーレ」が設定されました。
この改良版は同年5月に日本に上陸し、翌2013年4月にはそれをベースに日本を意識した内外装を施した日本限定の特別仕様車「カリフォルニア30ジャッポーネ」が発売されました。そして2014年に、エンジンを3.9L V8ターボ(最高出力552HP/7,500rpm・最大トルク77kgm/4,750rpm)に置換し、足回りやブレーキを改良した発展型「カリフォルニアT」にバトンタッチされました。