マツダのコンパクトカー「デミオ」は、同社がフォードの傘下に入った翌月の1996年8月に発売されました。それまでの同社のコンパクトカーは、オートザムブランドで販売されていた「レビュー」がありましたが、女性をメインターゲットにしたデザインや、設計が凡庸であった事が災いし、男性ユーザーを取り込めず販売は低迷していました。
又、バブル期に分不相応の多チャンネル販売体制を敷いた事が重荷になった事や、車種が多い割にはこれといったヒット作がなかった事から、深刻な経営難に陥っていました。そのような状況を打破すべく、当時流行し始めていたミニバンのコンセプトを併せ持ったコンパクトカーとして、デミオが企画・開発されました。
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背が高いボディにより広大な室内空間を実現
ボディサイズは、全長3,800mm×全幅1,670mm×全高1,500mm~1,535mmで、同クラスの「トヨタ・スターレット」や「日産・マーチ」などより若干大きく、特に全高が10cm以上高い事が特徴でした。スタイリングは、Cピラー部にウィンドウを備える6ライトのステーションワゴンスタイルで、ベースグレードを除きルーフレールが装着されていました。
車両重量は900kg~990kgで、ボディの容積が大きい為、競合車種よりもやや重くなっていました。しかし、この独特なボディ形状により、競合車種を凌ぐ広々とした室内空間と荷室スペースを実現すると共に、一般的な立体駐車場に収まる利便性の高さも兼ね備えていた事が、デミオの大きなセールスポイントとなりました。
エンジンは、「レビュー」やフォードブランドで販売されていた「フェスティバ」と同様の、1.3L直4SOHCのB3-ME型と1.5L直4SOHCのB5-ME型が搭載されました。最高出力と最大トルクは、前者が83ps/11kgm、後者が100ps/13kgmでした。駆動方式はFFで、トランスミッションは、1.3Lには5速MTと3速トルコンATが、1.5Lには5速MTと4速トルコンATが用意されました。
初代デミオのCM
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マイナーチェンジで使い勝手や安全性が向上
1998年9月にマイナーチェンジを実施し、フェイスリフトを行うと共に、リアシートの機能を高め使い勝手を向上させるなどの改良が行われました。1999年12月には、2度目のマイナーチェンジを実施し、フロントマスクがマツダを象徴する五角形のものになるなど、外観のイメージが一新されました。
同時に、ABSやデュアルSRSエアバッグシステム、積載量に応じブレーキバランスを自動制御するEBDを標準装備すると共に、新たに横滑り防止装置「DSC」を用意するなど、安全性が大幅に向上しました。又、1.3LモデルのATが、それまでの3速から1.5Lと同様の4速に変更されました。
初代デミオは、扱い易いコンパクトなボディサイズと優れたスペースユーティリティーを兼ね備えていた事が好評を博し、発売開始と同時にベストセラーとなり、同社を経営危機から救う救世主的な存在となりました。又、1996年の日本カーオブザイヤー、1997年のRCJカーオブザイヤーを受賞するなど、専門家筋からも高い評価を得ました。
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