ランチアは1984年に、それまでの「ベータ」及び「ガンマ」に代わる新型プレミアムセダン「テーマ」を発売しました。開発は、1978年に当時提携関係にあったサーブとの共同で開始され、後にフィアット、アルファロメオが加わり「ティーポ4プロジェクト」に進展した事で、「サーブ・9000」「フィアット・クロマ」「アルファロメオ・164」と姉妹車種の関係になりました。
セダンはジウジアーロがデザイン
ボディタイプは当初4ドアセダンのみが用意され、エクステリアデザインはジウジアーロにより手掛けられました。スタイリングは直線基調のボクシーなものながら、Cd値0.32の優秀な空力特性を備えていました。ボディサイズは全長4,590mm×全幅1,755mm×全高1,415mm、ホイールベースは2,660mmで、ガンマに近いディメンションでした。車両重量は初期型で1,150~1,230kgでした。
サスペンション型式は、ベータやガンマ同様の4輪マクファーソンストラット式を踏襲し、駆動方式も同様にFFが採用されました。発売当初における搭載エンジン及びグレード体系は、2L直4DOHC NA搭載の「ie」、同ターボ搭載の「ieターボ」、2.8L V6SOHC NA搭載の「V6」、2.4L直4SOHCディーゼルターボ搭載の「ターボディーゼル」の4タイプが用意されました。
最高出力/最大トルクは、それぞれ120ps/16.8kgm、167ps/29.1kgm、152ps/24.5kgm、100ps/22.1kgmでした。尚、ガソリン直4ユニットには、振動を軽減する為のバランサーシャフトが組み込まれていました。トランスミッションはV6に4速トルコン式ATが、それ以外には5速MTが組み合わせられました。又、ブレーキは全車にフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。
ワゴン及びフェラーリとのコラボモデルを追加
そして1986年に、ピニンファリーナがデザインを担当したステーションワゴン「エステート」(エンジンは2Lガソリンのみ)と、「フェラーリ308クワトロバルボーレ」用の2.9L V8DOHC NAエンジンにモディファイを施した上で移植し、リアに自動格納式のウイングが備わる「8.32」がラインナップに加わりました。
8.32のエンジンは最高出215ps/最大トルク29.1kgmのアウトプットを発生し、車両重量は1,400kgまで増加したものの、5速MTを介しての最高速度は240km/hに達しました。次いで1988年のマイナーチェンジでフェイスリフトが実施されると同時に、2Lガソリンユニットが16バルブ化され、最高出力/最大トルクがNAは150ps/18.8kgm、ターボは188ps/32.6kgmまで向上しました。
次いで1990年にディーゼル車のエンジンが2.5Lに拡大され、スペックが最高出力118ps/最大トルク25.5kgmに向上しました。そして1994年に、後継モデル「カッパ」に後を譲り生産終了となりました。日本での販売開始は1987年からで、セダンのie、ieターボ、V6、8.32が導入されました。