TVR タスカン (初代 1967-1971)
イギリスのスポーツカー専門メーカーであったTVRは、1967年に新型2シーター・スポーツクーペ「タスカン」を発売しました。1965年にリリースされた「グリフィス400」の後継モデルで、同社の車造りの文法に則りコンパクトなボディに大排気量エンジンが搭載されました。当初はV8エンジン車のみのラインナップだったものの、のちにV6エンジン車が追加されました。
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FRPボディを採用
TVR タスカン (初代 1967-1971)
ボディの構造は、同社最初の市販モデルである「グランチュラ」と同様、チューブラフレームとFRPボディの組み合わせでした。スタイリングは、長いノーズとラップラウンド・リアウィンドウ採用によるファストバックのフォルムが特徴でした。ボディ・ディメンションは全長3,886mm×全幅1,656mm×全高1,252mm、ホイールベース2,286mmでした。
グリフィス400との比較では全長と全幅が拡大され、ホイールベースも100mm以上延長されたものの、絶対的には依然としてコンパクトでした。車両重量は900kgを下回っていたグリフィス400から大幅に増加し、1トンオーバーの1,030kgとなりました。サスペンション形式はグリフィス400同様の4輪ダブルウィッシュボーン式で、駆動方式もコンベンショナルなFRが踏襲されました。
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フォード製エンジンを搭載
TVR タスカン (初代 1967-1971)
エンジンはフォード製で、同社のポニーカー「マスタング」にも設定される4.7L V8OHV「ウィンザー」が搭載されました。圧縮比9.3:1・最高出力203psの標準仕様と圧縮比11.1:1・最高出力275psのハイチューン仕様の2種類が用意され、トランスミッションはともに4速MTが組み合わせられました。グレード体系は、標準エンジン搭載の「V8」とハイチューンエンジン搭載の「V8SE」のラインナップでした。
このうち高性能版であるV8SEは、最高速度249km/h・0-60mph加速5.7sの動力性能を誇りました。ステアリング形式はラック&ピニオン式で、ブレーキは4輪ディスク式が採用されました。その後1969年に、同じくフォード製の3L V6OHV「エセックス・エンジン」(最高出力140ps)を搭載し、リアブレーキをドラム式に変更した「V6」が追加されました。
TVR タスカン (初代 1967-1971)
4速MTを介してのパフォーマンスは、最高速度201km/h・0-60mph加速8.3sというものでした。次いで翌1970年には、より長いホイールベースと専用デザインを持つボディに、4.9L V8OHVウィンザー・エンジンを搭載する「V8SE LWB」が追加になりました。しかし、同年をもってV8シリーズは生産終了となり、残るV6も翌1971年に生産を終了しました。
総生産台数は、160～170台程度と少数に留まりました。また、直接的な後継モデルは長らくリリースされず、2代目タスカンが登場するのはそれから28年が経過した1999年のことでした。
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