イギリスのスポーツカー専門メーカーであったTVRは、1980年に新型スポーツカー「タスミン」をリリースしました。1972年に発売した「Mシリーズ」の後継モデルで、同社伝統の鋼管スペースフレーム+FRPボディの基本構造を踏襲しながら、古典的な雰囲気を持っていた従来のTVR車とは全く異なるモダンなスタイリングが与えられました。
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リトラクタブルヘッドランプを採用
Mシリーズ用を改良したシャシーに架装されるボディは、当初は2シーター仕様の3ドア・ハッチバッククーペのみの設定であったものの、追って「+2」と呼ばれる2+2シーター仕様と、2ドア・2シーター仕様のコンバーチブルが追加されました。エクステリア・デザインは、直線基調のシャープなボディラインとリトラクタブルヘッドランプ採用による低いノーズが特徴でした。
空力特性向上にも力が注がれ、Cd値は0.37を実現していました。ボディサイズは全長4,013~4,090mm×全幅1,727mm×全高1,194mmで、Mシリーズから全長と全幅が拡大されていました。ホイールベースは2,388mmで、Mシリーズから100mmほど延長されました。車両重量は若干増加したものの、絶対的には軽量な1,050~1,065kgでした。
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フォードまたはローバー製エンジンを搭載
サスペンション形式は、フロントにダブルウィッシュボーン式、リアにセミトレーリングアーム式が採用されました。駆動方式はコンベンショナルなFRが踏襲され、フロント・フードには2.8L V6OHVボッシュKジェトロニック燃料噴射仕様の「フォード・ケルン・エンジン」(最高出力162ps/最大トルク22.4kgm)が搭載されました。このモデルは、「280i」と名付けられました。
トランスミッションも同様にフォード製で、4速または5速のMTと、TVR初の3速トルコン式ATが設定されました。標準仕様となる4速MT仕様のパフォーマンスは、最高速度が209km/h、0-60mph加速タイムが8.7sでした。ステアリング形式はパワーアシストを持たないラック&ピニオン式で、ブレーキは4輪ディスク式が採用されました。
また、ホイール&タイヤは、前後とも7J×14インチホイールとダンロップ製205/60VR14タイヤの組み合わせが装着されました。そして翌1981年に、2L直4OHVウェーバー・シングルキャブレター仕様の「フォード・ピント・エンジン」(最高出力99ps/最大トルク15.5kgm)を搭載し、最高速度185km/hの性能を持つエントリーモデル「200」が追加されたものの、短期間販売されたのみで廃止されました。
次いで1983年には、ローバー製の3.5L V8OHVエンジン(最高出力200ps/最大トルク30.4kgm)を搭載し、最高速度246km/h・0-60mph加速6sの性能を持つ「350i」が追加されました。そして1984年、車名からタスミンの文字が消え、単なる「280i」および「350i」が正式名称となりました。
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