フォルクスワーゲンは1974年3月、1955年デビューでメカニズムやスタイリングの旧態化が目立っていた「カルマンギア・クーペ」に代わる新型スポーツクーペ「シロッコ」を発表しました。前年にリリースした新世代セダン「パサート」と同様水冷エンジン+FF方式を採用、空冷エンジン+RR方式のカルマンギアから大幅なモダナイズが図られました。
ジウジアーロによるデザインを採用
カルマンギアに引き続きカルマン社の手により架装されるボディは、テールゲートが備わる3ドアハッチバックで、2+2シーター仕様の室内は後席を倒す事で530Lの容積を持つラゲッジスペースが出現しました。エクステリア・デザインはパサートと同様ジュルジェット・ジウジアーロにより手掛けられ、パサートの流れを汲む直線基調のシャープなフォルムを備えていました。
ボディサイズは全長3,885mm×全幅1,625mm×全高1,310mmで、カルマンギアよりも一回り小さく、ホイールベースは同一の2,400mmに設定されていました。サスペンション形式はフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式で、ステアリング形式はラック&ピニオン式が、ブレーキはフロント:ディスク式/リア:ドラム式が採用されました。
欧州仕様のエンジンは、当初1.1L直4SOHCキャブレター仕様(最高出力50ps)と2種類の1.6L直4SOHCキャブレター仕様(最高出力70ps/85ps)が用意され、トランスミッションは4速MTが組み合わせられました。一方、北米及び日本向けモデルには後に1.7Lエンジンが追加された他、5速MTや3速トルコン式ATが設定されました。
スポーティグレードを追加
そして翌1975年に、1.6L直4SOHC燃料噴射仕様エンジン(最高出力112ps)を搭載するスポーティグレード「GTI」が追加されました。次いで1978年にフェイスリフトが実施され、バンパーがスチール製から樹脂製に変更された他、フロント・ウィンカーランプがボディ側面まで廻り込むデザインに変更されました。そして1982年にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。
日本市場においては1976年、ヤナセの手によりまず1.5L直4SOHCキャブレター仕様エンジン(最高出力70ps)搭載モデルが導入され、翌1977年には1.6L燃料噴射仕様エンジン(最高出力82ps)を搭載するスポーティグレード「GTE」が追加されました。次いで1978年には、エンジンを1.5L(最高出力75ps)に置換したフェイスリフト版GTEの導入が開始されました。
続いて1980年にGTEのエンジンが再び1.6L(最高出力82ps)に戻され、翌1981年には1.7L(最高出力78ps)に置換されました。