富士重工業は1991年9月、1985年にリリースした「スバル・アルシオーネ(AX型)」の後継モデルとなる「スバル・アルシオーネSVX」を発売しました。ジョルジェット・ジウジアーロのデザインによるエクステリアを採用するとともに、4WS(4輪操舵システム)の採用などさらなるハイテク化が推し進められました。
ラウンド・キャノピーを採用
ボディタイプはAX型アルシオーネ同様2ドアクーペのみの設定で、スタイリングはそれまでの直線基調から、ラウンド・キャノピー採用による流麗なフォルムに変貌しました。また、ヘッドランプがリトラクタブル式から固定式に変更されたほか、サイドウィンドウに国産車初のミッドフレームウィンドウが採用されたことも特徴でした。
ボディサイズは全長4,625mm×全幅1,770mm×全高1,300mmの3ナンバーサイズで、AX型アルシオーネからそれぞれ175mm×80mm×5mm拡大されました。また、ホイールベースも145mm延長され2,610mmとなりました。サスペンション形式は、それまでのフロント:ストラット式/リア:セミトレーリングアーム式から4輪ストラット式に変更されました。
アルシオーネSVXのCM
アルシオーネSVXのビデオカタログ
全車4WD方式を採用
駆動方式はFFが廃止され、全車不等&可変トルク配分式のVTD-4WDシステムに統一されました。エンジンは従来の1.8Lフラット4SOHCターボおよび2.7Lフラット6SOHC NAに代わり、新開発の3.3Lフラット6DOHC24バルブNA(最高出力240ps/6,000rpm・最大トルク31.5kgm/4,800rpm)が搭載されました。トランスミッションは5速MTが廃止され、4速トルコン式ATに一本化されました。
また、4輪ディスク式のブレーキは、フロントのみならずリアにもベンチレーテッド型が採用されました。タイヤはそれまでよりもワイド&扁平化が図られ、前後とも225/50R16が装着されました。グレード体系は、当初標準グレードの「バージョンE」と上級グレードの「バージョンL」の2タイプが用意されました。
特別仕様車を設定
装備面では、両グレードにレザーステアリングや運転席パワーシートなどが、さらにバージョンLにはABSやレザーシート、クルーズコントロールなどが標準装備されました。その後1993年11月に、富士重工業創業40周年記念特別仕様車として、バージョンEをベースに仕様向上を図った「S40」が設定されました。さらに翌1994年7月には、特別仕様車第2弾となる「S40Ⅱ」が設定されました。
追って同年11月、バージョンEをベースにBBS製アルミホイールや高級カーオーディオシステムなどを採用した特別仕様車「S3」が設定されました。次いで1995年7月、新たなカタロググレードとして、新デザインのフロントグリルやBBS製アルミホイールなどを採用した「S4」が追加されました。そして1997年9月、販売不振に伴い後継モデルのリリースもないまま生産終了となりました。