アルファロメオは1966年のジュネーブ・ショーで、前年生産終了となった「ジュリエッタ・スパイダー」の後継モデルであると同時に、105系「ジュリア」のオープンモデル版となる「1600スパイダー・デュエット」を発表しました。ピンファニーナによりデザインされたボディは従来より遥かにモダンになり、27年に渡り生産が続けられるロングセラーカーとなりました。
初期型は通称「ボートテール」
初期のモデルは通称「ボートテール」とも呼ばれ、外観上は丸みを帯びた長いテールが特徴でした。ソフトトップが備わるオープンボディは、当初2人乗り仕様でした。ボディサイズは全長4,250mm×全幅1,630mm×全高1,290mm、車両重量は990kgで、ジュリエッタ・スパイダーよりも一回り大きく、そして重くなりました。一方、ホイールベースは同一の2,250mmに設定されていました。
サスペンションは、ジュリエッタ・スパイダーと同一のフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:トレーリングリンク式が踏襲された一方で、ブレーキは4輪ドラム式から4輪ディスク式へとアップグレードされました。搭載されたエンジンは1.6L直4DOHC(最高出力109ps)で、5速MTとの組み合わせにより最高速度185km/hの性能を発揮しました。
そして1967年に、排気量を1.75Lに拡大し、最高出力を124psまで高めた「1750スパイダー・ヴェローチェ」にバトンタッチされました。更に翌1968年には、価格を抑えたエントリーグレードとして、「GT1300ジュニア」と共通の1.3L直4DOHCエンジン(最高出力89ps)を搭載する「スパイダー1300ジュニア」が追加されました。
最初のM/Cで「カムテール」に
そして1969年に実施された最初のマイナーチェンジにより、エクステリア面ではテールがカットされ全長が130mm短縮されると共に、フロントウィンドウが大型化されると同時に角度が立てられるなど、様々なリデザインが施されました。又、インテリア面でも、インパネのデザイン変更やセンターコンソールの装備といった改良が行われました。このタイプは、通称「カムテール」と呼ばれました。
次いで1971年に1750スパイダー・ヴェローチェに代わり、排気量を2Lに拡大した「2000スパイダー・ヴェローチェ」が登場しました。最高出力が132psに向上し、最高速度は195km/hに達しました。続いて翌1972年に、シンプルな内外装のスパイダー1300ジュニアのボディに1.6Lエンジン(最高出力118ps)を搭載する「スパイダー1600ジュニア」が追加されました。
2度目のM/Cでエアロパーツを装着
次いで1974年に1300に、1975年に2000に後席が追加され2+2仕様となった後、1300は1977年に廃止されました。続いて1983年に2度目のマイナーチェンジが実施され、前後に大型バンパーやエアロパーツが装着されると共に、インパネのデザインが一新されました。同時に、グレード体系が「スパイダー1.6」(最高出力104ps)、「スパイダー2.0」(最高出力128ps)に変更されました。
次いで1985年に、エアロパーツを追加すると共に2Lエンジンの最高出力を132psに高めた「スパイダー2.0クアドリフォリオ・ヴェルデ」が登場し、従来のモデルは「スパイダー・グラジュエイト」と命名されました。続いて1989年に3度目のマイナーチェンジが実施され、内外装の変更、パワーステアリングや運転席SRSエアバッグシステムの追加、3速トルコン式ATの設定などが行われました。
同時にグレード体系が整理され、2Lエンジン(最高出力126ps)搭載の「スパイダー・ヴェローチェ」のみのモノグレードとなりました。そして1993年に、後継モデルの発売もなく生産終了となりました。2代目モデルが登場するのは、3年後の1996年になっての事でした。