マツダは、初代「コスモスポーツ」を生産終了してから3年後の1975年10月に、後継モデルとなる「コスモAP」を発売しました。オイルショックや排気ガス規制により、高性能なスポーツカーやGTカーを取り巻く環境が厳しくなっていた時代に、再びコスモの名を冠したスポーティカーが登場した事は画期的な出来事でした。
5人乗りクーペに変身
ボディは、2シーターのピュアスポーツカースタイルだったコスモスポーツとは異なり、後席を備える乗車定員5人の2ドアクーペに生まれ変わりました。ボディサイズは全長4,545mm×1,685mm×全高1,325mmで、コスモスポーツよりも二回り程大きい堂々たるサイズとなりました。スタイリングは、丸目4灯式のフロントマスクを備える流麗なファーストバックで、太いBピラーにウィンドウが備わるのが特徴でした。
駆動方式は、コスモスポーツに引き続きFRで、サスペンションは前マクファーソンストラット式/後4リンク式のオーソドックスな形式が採用されました。エンジンは、発売当初は654cc×2ローターの13B型、573cc×2ローターの12A型の2種類のロータリーエンジンの他、エントリーグレード用として1.8Lレシプロエンジンが用意されました。トランスミッションは、5速/4速MTと3速トルコン式ATが用意されました。
高性能かつラクジュアリー
最高出力と最大トルクは、13B型が135ps/19kgm、12A型が120ps/16kgm、1.8Lが100ps/15.2kgmでした。13B型エンジン搭載モデルの動力性能は、最高速度195km/h、0-400m加速15.9sというコスモスポーツ後期型に肉薄するもので、200kg以上も重くなった1,220kgの車両重量や排気ガス規制をクリアしている事を考慮すれば、立派な数値と言えました。
インテリアは、5連メーターが並ぶダッシュボードやステアリング、シフトノブにウッドが使用され、明るい色合いの内装色と相まって、ラクシュアリーな雰囲気を醸していました。その後、1977年3月に2Lレシプロエンジン(最高出力110ps/最大トルク17kgm)搭載モデルが、次いで同年7月には派生モデル「コスモL」が追加されました。
マツダ コスモAPのCM
派生モデル追加とマイナーチェンジ
コスモLは、「ランドウトップ」と呼ばれるノッチバックボディを架装し、ネオクラシカルな雰囲気が特徴でした。同時に、テールランプのデザインが標準モデルの異形タイプから長方形タイプに変更されました。スタイリングのまとまりの面ではややアンバランスな印象になったものの、後席のヘッドクリアランスが向上する実利的なメリットもありました。
そして、1979年9月に両モデル共にマイナーチェンジを実施し、フェイスリフトによりヘッドライトが角目4灯式に変更された他、13B型エンジンが希薄燃焼化され、燃費性能が大幅に改善されました。それと共に、12A型エンジンと1.8Lエンジンはカタログ落ちし、ラインナップの単純化が図られました。
コスモAP/Lは、少数の生産に留まったコスモスポーツとは異なり、高級スポーティカーとしては販売が好調でした。オイルショックにより燃費性能に難のあるロータリーエンジンに逆風が吹き、経営状態が厳しくなっていたマツダにとって、救世主的な存在となりました。
先代モデル:初代コスモ
後継モデル:3代目コスモ
歴代コスモ