かつてサーブの自動車部門として存在したサーブ・オートモビルは、2004年に「スバル・インプレッサスポーツワゴン」をベースとした北米市場専用モデル「9-2X」を発売しました。当時サーブ・オートモビルがすでにGM(ゼネラル・モーターズ)の子会社となっていたことと、GMが富士重工業と資本提携関係を結んでいたことから実現したモデルでした。
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エクステリアをリデザイン
生産は、日本にある富士重工業の工場で行われました。ボディタイプは5ドアハッチバックで、基本的なボディシェルはインプレッサスポーツワゴンと共通であったものの、サーブ独自の補強や遮音対策が行われていました。また、エクステリア面ではフロントグリルやヘッドランプ、バンパーなどにサーブ独自のデザインが採用されたほか、テールゲートもリデザインされていました。
ボディサイズは全長4,460mm×全幅1,695mm×全高1,465mmで、インプレッサスポーツワゴンと比較すると全長が45mm延長されていました。サスペンション形式は4輪ストラット式を踏襲しながらも、バネ下荷重の軽減が図られていました。また、ステアリングはギアレシオがクイック化されるとともに、高剛性化が図られました。
サーブ 9-2Xの走行動画
エンジンはスバル製2種類を設定
駆動方式はFFの設定もあったインプレッサスポーツワゴンと異なり、フルタイム4WDのみの設定となっていました。エンジンはスバル製で、ラインナップはインプレッサスポーツワゴンWRXにも搭載される2Lフラット4DOHCターボ(最高出力227hp/最大トルク30kgm)と、日本仕様のインプレッサスポーツワゴンには設定のなかった2.5Lフラット4DOHC NA(最高出力165hp/最大トルク23kgm)の2種類が用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、5速MTまたは4速トルコン式ATでした。一方インテリア面では、インパネやシートにサーブ独自のマテリアルが採用されました。グレード体系は2Lターボエンジン搭載の「エアロ」と2.5L NAエンジン搭載の「リニア」の2タイプが基本で、さらにオプションで「プレミアムパッケージ」「コールドパッケージ」「スポーツパッケージ」の3種類のパッケージが用意されました。
これらのうちプレミアムパッケージを選択した場合は、フロント・フォグランプやレザー・インテリア、6連奏CDチェンジャーなどが備わりました。また、寒冷地仕様のコールドパッケージを選んだ場合、フロントシート・ヒーターやサイドミラー・デフロスターなどが追加されました。そしてスポーツパッケージには、サンルーフが標準装備されました。
その後2006年に、エアロのエンジンが2.5Lフラット4DOHCターボに置換されるなどの仕様変更が施されたものの、同年をもってGMと富士重工業の資本提携関係が解消されたため、9-2Xの生産は打ち切られました。