現在はすでに日産自動車に吸収合併され消滅している自動車メーカー「プリンス自動車」は、「富士精密工業」を名乗っていた1957年4月、「プリンス・セダン」に続く同社のガソリン車第二弾となる中型乗用車「スカイライン」を発売しました。当時としては先進的な構造や優れた性能が備わっていた点が特徴で、そうした個性は後のモデルにも受け継がました。
新車購入ガイド:【2023最新】スカイラインの値引き 納期 乗り出し価格
ド・ディオン・アクスル式リアサスを採用
当初4ドアセダンのみが用意されたボディはセミ・モノコック構造で、エクステリア・デザインは社内スタッフにより手掛けられました。そのスタイリングは控えめながらもテールフィンが備わるなど、当時のアメリカ車の影響を受けたものでした。ボディサイズは全長4,475mm×全幅1,680mmで、5ナンバーサイズを守りながらもプリンス・セダンより一回り拡大されていました。
また、ホイールベースもそれよりも長い2,535mmに設定されていました。サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン独立懸架式、リアがド・ディオン・アクスル半独立懸架式で、当時4輪リジッド・リーフ式も珍しくなかった国産車としては非常に先進的な機構でした。駆動方式は、プリンス・セダン同様のコンベンショナルなFRが踏襲されました。
当初搭載されたエンジンは、当時の小型車規格枠いっぱいの排気量であった1.5L直4OHVのGA30型でした。アウトプットは最高出力60ps/4,400rpm・最大トル10.8kgm/3,200rpmで、当時の国産車としてトップレベルのものでした。トランスミッションは3速MTが組み合わせられ、最高速度125km/hの性能を発揮しました。
さらに性能が向上
その後1959年2月に、スカイラインと共通のシャシーおよびボディに1.9L直4OHVのGB4型エンジン(最高出力91ps/4,800rpm・最大トル15kgm/3,600rpm)を搭載する上級モデル「グロリア」がリリースされました。一方スカイラインは、同年10月に排気量はそのままにアウトプットが最高出力70ps/4,800rpm・最大トル11.5kgm/3,600rpmに高められました。
同時に、モノグレード設定だったグレード体系が「スタンダード」と「デラックス」の2タイプとなりました。次いで翌1960年にマイナーチェンジが実施され、ヘッドランプがそれまでの丸型2灯式から丸型4灯式に変更されるとともに、テールランプの意匠が変更されました。さらに1961年には、グロリアと共通のGB4型エンジンを搭載する「1900」シリーズが追加されました。
ミケロッティの手によるクーペ/コンバーチブルを追加
続いて1962年4月、ミケロッティの手によるスタイリッシュな2ドアクーペおよび2ドアコンバーチブルボディに、GB4型エンジンのアウトプットを最高出力94ps/4,800rpm・最大トル15.6kgm/3,600rpmまで高めて搭載する「スカイライン・スポーツ」が発売されました。4速MTとの組み合わせにより最高速度150km/hの性能を発揮したものの、極めて高価であったため生産台数は僅か60台ほどに留まりました。
追って同年9月にセダンのマイナーチェンジが実施され、エクステリア・デザインが変更されるとともにエンジンがGB4型に一本化されました。そして1963年9月にフルモデルチェンジが実施され、2代目S5型に移行しました。