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スズキ フロンテクーペ (1971-1976):車重480kgに37psを搭載した軽のスペシャリティ [LC10W]

スズキ フロンテクーペ '71-'76

スズキ フロンテクーペ ’71-’76

スズキとして初の軽スペシャリティカーである「フロンテクーペ」は、このカテゴリーとしては他社から若干遅れて1971年9月にデビューしました。全高の低いスタイリッシュなボディを備えていた事や軽自動車としては高性能であった事に加え、発売当初は2シーターという割り切った仕様であった事が特徴でした。

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ジウジアーロのデザインをベースに

スズキ フロンテクーペ '71-'76

スズキ フロンテクーペ ’71-’76

ボディ形状は2ドアクーペで、スタイリングはジウジアーロのデザインしたモックアップモデルをベースに、市販化に適合するようスズキ独自にアレンジを加えたものでした。本来ドアミラーを前提としたデザインであった為、当時の保安基準上止むなく採用されたフェンダーミラーがやや不釣合いであったものの、全体的には美しいフォルムを持っていました。

スズキ フロンテクーペ '71-'76

スズキ フロンテクーペ ’71-’76

又、リアクォーターウィンドウが備わるデザインであった為、一見4人乗りのように見えるものの、前述の通り発売時は2人乗り仕様のみの設定で、シート後部はラゲッジスペースとなっていました。全体的なシルエットは、前年に発売され、ベースモデルともなった3代目「フロンテ」に類似した雰囲気も持っていました。

スズキ フロンテクーペ '71-'76 (出典:staryjaponiec.blogspot.jp)

スズキ フロンテクーペ ’71-’76 (出典:staryjaponiec.blogspot.jp)

ボディサイズは全長2,995mm×全幅1,295mm×1,190mm~1,200mmで、全長と全幅は当時の軽自動車規格一杯のもので、全高は軽自動車としては最も低く抑えられていました。シャシーは前述のフロンテと共通のもので、2,010mmのホイールベースや、前ウィッシュボーン/コイル式、後セミトレーリングアーム/コイル式のサスペンションも同一でした。

スズキ フロンテクーペ '71-'76 (出典:staryjaponiec.blogspot.jp)

スズキ フロンテクーペ ’71-’76 (出典:staryjaponiec.blogspot.jp)

車重480kgに37psの水冷2サイクルエンジン

車両重量はフロンテと殆ど変わらない480kgで、当時の軽自動車としては標準的な数値でした。エンジンは、これもフロンテと共通の360cc水冷2サイクル3気筒のLC10Wから、3キャブレター仕様の高性能版が選択されました。最高出力37ps/6,500rpm、最大トルク4.2kgm/4,500rpmのスペックで、トランスミッションは4速MTが組み合わせられました。

スズキ フロンテクーペ '71-'76 (出典:staryjaponiec.blogspot.jp)

スズキ フロンテクーペ ’71-’76 (出典:staryjaponiec.blogspot.jp)

駆動方式はフロンテ同様RRで、4輪ドラム式のブレーキも同一でした。動力性能は最高速度120km/h、0-400m加速19.47sと謳われており、360cc時代の軽自動車としては優秀なものでした。そして翌1972年2月に、市場のニーズに応え後席を追加した4人乗りグレードが追加されました。ただし、後席スペースはミニマムで、リアクォーターウィンドウもはめ殺しのままでした。

フロンテクーペのCM

翌3月には、最高出力を35psにデチューンした廉価グレードが追加されました。更に6月には、31psまでデチューンした最廉価グレードが追加された他、フロントにディスクブレーキを採用した最上級グレードが追加されました。そして、翌1973年10月には2シーターモデルが廃止され、発売当初の「ふたりだけのクーペ」というキャッチフレーズは過去のものとなりました。

スズキ フロンテクーペ '71-'76 (出典:staryjaponiec.blogspot.jp)

スズキ フロンテクーペ ’71-’76 (出典:staryjaponiec.blogspot.jp)

次いで1974年5月に、エンジンが37ps版を35psにデチューンしたものに一本化されました。そして1976年6月、軽自動車規格の改正に伴い、モデルチェンジを受ける事もなくそのまま生産終了となりました。しかし、1年余りのブランクを経た翌1977年10月に、フロンテクーペをベースに新規格に対応させたニューモデル「セルボ」となって復活を遂げました。

スズキ フロンテクーペ '71-'76

スズキ フロンテクーペ ’71-’76

フロンテクーペは、フル4シーターではないという実用面でのハンデキャップはあったものの、低重心のボディと理論上4サイクル6気筒に匹敵するバランスを持つエンジンの組み合わせにより、他社の軽スペシャリティカーを凌ぐ走行性能を持っていた事が最大のセールスポイントとなりました。

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